プラスチック帆船模型










帆船模型と言えば木製が定番ですが、これは世にも珍しいプラスチックで作る帆船です。


CUTTY SARK



カティーサークは1858年、英国のダンバードンで進水したティーク
リッパーです。スコッチウイスキーの銘柄や茶や紅茶に詳しい方も、
お名前はご存知のことと思います。

帆船カティサーク号は全長が全幅の6倍もある典型的な高速型で96
3総トン。最高速度は17ノット以上を誇りました。時代は既に汽帆船
の時代だったものの、当時の蒸気機関はまだ未熟なもので、5ノット
前後が限界と言われてましたから、この17ノットという帆走速度がい
かに驚くべきスピードか伺い知ることができます。

当時は木材に不足していたためフレームに鉄骨を用いて外板にチー
ク材を張った木鉄混合船で、現在も唯一のクリッパーシップとして
グリニッジに永久保存されています。

船名のカティーサークの由来は、造船主ジョン・ウィリスが賞賛し
ていたスコットランドの詩人、ロバート・バーンズの叙事詩「タム
オーシャンター」からとられた名前です。この中に登場する魔女
ナニーの身につけていた短い下着のことをスコットランドの古語
で『カティーサーク』と呼び、船首にはカティーサークをまとっ
た魔女ナニーの姿が再現されています。



キットは木製帆船ではなく、プラ製の青島分化教材社製のキットで
す。ご存知の方も多いと思われますが、これは以前に木製建築模型
や帆船模型で名をはせた今は亡きイマイ(旧今井科学)の1/350シ
リーズのもので、権威ある旧西ドイツ専門誌から『MODELL DES
JAHRES大賞を受けた、旧イマイのキットの中でも品質の高いもの
として有名です。こうして1/350洋上模型として製品化されたこの
キットは、後にフルハルモデルとしてリニューアルされました。

よってこのキットは船底と船体が分割構造になっているため、この
構造を利用して舵を若干加工することによって、洋上模型状態と船
底がついたフルハル状態の両方の状態で展示できるように製作して
みました。


↑船底を取り外し、ウォーターラインモデルとして飾った例です。

サイズは全長が229mm、全幅98mm、全高174mmとかなりこぶりでティ
ーカップやウイスキーボトルと一緒にショーケースの中に飾るの
にも良い大きさです。(笑)

組みたてはほとんどキットのままですが、リギング(ロープワーク
)はキットの糸だと毛羽立つ心配があるのでメンテナンスの必要の
ない模型用精密テグスを使用しました。

塗装はほとんどエアブラシ塗装です。船体以外の全ての部品の下地
はベースホワイトを使った白立ち上げで、マスト、ヤードやギ装の
一部などは素材感を出す工夫として、一部白立ち上げの上にウッド
ブラウンを塗装し、木地風の下地を作ってから本塗装に入っていま
す。



甲板の塗装はGSIクレオスのタンをベースに吹きつけ、その後、サ
ンディブラウン、ウッドブラウン、黄燈色、艶消しブラックをラ
ンダムに薄めて吹きつけています。甲板の塗装は単一色塗装より
かなり暗く、薄汚れた雰囲気に仕上げています。

船底の銅板表現にはGSIクレオスのメタルカラーを使用しています。
この塗料は塗装後に磨き出すと金属光沢を発するもので、銅板表現
の塗装としてはかなり上出来だと思います。

塗装の最終仕上げには同じくクレオスの艶消しクリアーコートを施
して落ちついた質感に統一しました。


↑スターンの飾りはデカール表現です。


**総括**

このキットはIMAIが生産していた時に一度製作しました。といって
も小学生の頃です。帆船ブームだった頃、僕の父親がコーレルのハ
ーフムーン(現在も未完成)やル・ミラージュ(これも未成)を組
んだりしているところをみたので、小学校高学年くらいの時って自
分の中での第一次帆船ブームだったんですよね。(笑)しかしその
頃の自分の腕はとても未熟で(今も未熟ですが)キットに付属の糸
でリギングに挑戦したものの、マストを正確な角度に固定すること
さえ苦労して結局まともな姿には完成しませんでした。

このギャラリーにあるロイヤル・サブリンも同じレベルでの製作で
帆船の模型としては木製のものと比較して鑑賞に耐えるものではな
いですが、このカティーサークはモデルの小ささも相俟って、それ
なりに見れるものに仕上がったと思います。キットの出来も、エア
フィックスの合いの悪いものと違って正確で組みたてやすく、艦船
モデルとしては異例なくらいの早さで完成しました。

おそらく塗料を乾かす時間を省いたとして総製作時間は30時間とか
かっていないハズです。感覚的にはこのギャラリーの中心になって
る1/700洋上モデル(戦艦クラス)の1/3くらいでしたね。今回は
プラの帆船ということで少し本筋から離れたもの(帆船模型は木製
が常識という半ば暗黙的常識が存在するので)ですが、この完成
品を受けとってくれた人はとても喜んでくださったので、また帆船
を組みたいと思う励みの力となりました。

次はアオシマがIMAIのコンステチューションを再販してくれるか、
ドイツレベルのビクトリーをまたHASEGAWAが輸入してくれること
を祈ってプラ製のフリゲート艦か戦列艦を作ってみたいです。エレ
ールのビクトリーやソレイユロワイヤルなんかもかなり評判がいい
ですが値段が高過ぎて木製帆船並みなのが無念です。




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