1/700スケール 重巡洋艦羽黒 最終時
HASEGAWA製インジェクションキット













ハセガワ 1/700

重巡洋艦羽黒(はぐろ)はワシントン軍縮条約下において、
日本海軍条約型重巡洋艦の傑作と言われる妙高型重巡洋艦の
3番艦として、三菱長崎造船所で1929年4月に竣工しました。

竣工後の羽黒は妙高型最終番艦の足柄(あしがら)とともに
1933年には第一次改装にて主機関係の改正を、そして1939年
より近代化のための第二次改装を施しました。

太平洋戦時下では一番艦妙高(みょうこう)と供にフィリピ
ン攻略戦、スラバヤ沖海戦、珊瑚海海戦など、緒戦の各海戦
に参加、1942年6月に北方部隊に編入されてアリューシャン
攻略戦に参加しました。

以後、第二次ソロモン海戦、ブーゲンビル沖海戦、渾作戦、
マリアナ沖海戦、そしてレイテ沖海戦と、無数の海戦に参加
し被弾するも沈没を免れ、無事に生き残りましたが、1945年
5月26日マラッカ海峡において英艦載機の攻撃を受け被雷し、
その後、英駆逐艦部隊の雷撃を受けて沈没しました。

羽黒をはじめとした妙高型重巡洋艦は、ワシントン条約による
制限内での建艦技術競争において、世界の注目を集めた超優秀
艦として知られ、2番艦那智は昭和天皇即位による御大礼特別
大観艦式へ参列し、足柄は英国ジョージ6世の記念観艦式に日
本代表として参列し、その均整の取れた艦容を観た英国国民
から「飢えた狼」というニックネームを与えられたことは有名
です。



キットは静岡の有名模型会社3社協同開発の国内艦船模型の最
大のブランド、ウォーターラインシリーズの記念すべき第一
段だったキットを完全新金型としてリニューアルし、リニュ
ーアル以前は一体成形されていた船体を左右分割型の船体に
かえるなどの設計変更をおこない、船体側面のバルジや電路、
汚水捨管なども再現した精密なものです。

まず、船体の舷窓は全てピンバイスで開口し、構造物の舷窓な
ども、ピンバイス加工で多数再現しました。

艦橋は最終型とするために、スポンソンの一部を削りとり、マ
ストも最終型の形態としました。艦橋窓などはスミ入れでモー
ルドのメリハリを表現し、艦橋上の防空指揮所を自作しました。

防空指揮所のグレーチングは塗装による再現で、防空指揮所の
双眼鏡は、爪楊枝の先を材料にした支柱と、太さ0、5ミリの真
鍮線を2本組み合わせて本体にしたものを塗装、接着した自作
のもので、縦横高さおよそ2ミリの精密なものです。





ディティールアップには主にスーパーディティールキットの
エッチングパーツから手摺、カタパルト、ジブクレーン、昇
降タラップなどを使用し、甲板上のタラップは純正のモール
ドを削り取った上で、トムズモデルワークスの汎用のタラッ
プを使用してあります。

25mm連装機銃および25mm三連装機銃は、ピットロード日本艦
船装備セットの2ピース構造のディティールアップパーツを
使って立体的に再現し、更にこの両機銃を最終状態の機銃と
するために、ジョーワールドの25mm機銃用防盾のエッチング
パーツを使用し、インジェクションパーツだけでは絶対に
再現できないこの時代だけの特徴的な機銃の形態を再現しました。



錨鎖にはアイコムの精密チェーンを使用、空中線支柱は真鍮
線を組みあわせた自作のもので、2号1型電波探信儀はスーパ
ーディティールキットのものです。



艦載機は零式観測機を1機、そして零式三座水上偵察機を2機
搭載しています。機体色に使用した塗料はGSIクレオスの三菱
系暗緑色および三菱系明灰白色です。艦載機のプロペラはエ
ッチングパーツで再現しました。もちろんカタパルトもエッ
チングパーツです。





艦首の錨鎖はアイコムの精密なホビーチェーンを使用し、本
物の鎖ならではの立体感を再現しました。銅製のこのチェ
ーンをモデルガンなどに使用する専用の黒染液剤でブルー
イング処理をしてあります。

空中線の再現には今回は0、6号釣り糸(太さ0,128mm)を着
色して使用しました。取りつけは全て瞬間接着剤によるもの
です。

塗装に関しましては95パーセントにエアブラシを使用してい
ます。リノリウム板色と外舷色に関してはほぼ100パーセント
で、甲板上の細かい構造物などは筆で色刺ししてあります。

また、防空指揮所部分および煙突上部、マストの一部の色刺
しなども筆塗りです。

船体は下地処理、白立ち上げの後に船体色を吹き付けて
あります。下地に白を使うことでスケール性に合わせた少
々発色の良い色調に調整してあります。

甲板の塗装は、白立ち上げの後、ピットロードカラーのリ
ノリウム専用色を塗装しました。

今回の塗装もエアブラシがメインのため、ほとんどの部分
に塗膜の強いラッカー系塗料を使用したのですが、機銃や
菊花紋章など、金属色の再現が求められる部分には、金属
色の再現に適したTAMIYAエナメルカラーを使用しました。

機銃本体はメタリックグレイ(防盾以外)、菊花紋章はチタ
ンゴールドです。 一部ライトレンズ部分にもエナメルシル
バーを使用しています。

塗装の最終仕上には、船体、甲板ともに艶消しクリアコー
ティングを施して質感を統一してあります。 機銃、高角
砲シールドや射撃指揮所の窓はすべてスミ入れを行ってあ
ります。




**総括**

妙高型の重巡は今回はじめての製作でした。キットのリニュ
ーアル前から好きな艦容だったのでいつかは作りたいと思い
つつも、幼少の頃は同じ予算をかけるのなら、どうしても大
艦を作りたいという欲求に打ち勝つことができず、気がつい
たら良い年になってました。(笑)

しかし近年、考証に凄まじい力を入れているハセガワから
リ ニューアルされたものですから、製作予算が自由に使えるよ
うになった最近になってようやくてをいれることができまし
た。

パーツの数が多いのはハセガワキットの特徴ですが、このキ
ットは特に大きさとパーツ数のバランスがおおきかったよう
に思います。製作工数や時間は同スケールの戦艦並みですが
そのパーツ構成は非常に良く練られていて、最終時への改造
も、付属のパーツをいれかえるほかに、スポンソンの一部を
削り取ったり、探照灯台の穴を埋める程度の追加作業で簡単
に済ませることができました。

戦艦伊勢の航空戦艦改装後の総括にも書いたのですが、あと
はパーツ数を効率的に減らして組みやすくできれば、ハセガ
ワのリリースする艦船は4社の中でも最も素晴らしいものにな
ると思います。

この調子でまた素晴らしい艦船模型の開発をぜひ続けていっ
てもらいたいものです。





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