**総括**
前述しましたように、1/500戦艦大和は完成した姿は個人的には大和ミュージアムの1/10戦艦大和に近いイメージがあります。無数のリベットが再現された艦橋周りや25mm三連装機銃シールドなどは本当に魅力的ではあるのですが、組立キットとしては個人的には少々不完全なところも多いキットという印象を持っています。 例えば25mm機銃シールドの台座の裏側などは、接着面と干渉する洗い場に合わせた切り欠きが入っているにも関わらず、説明書に取り付ける向きが明記されていないので、ユーザーの方でひとつひとつ仮組みしつつ、向きを考えていかねばなりません。また、艦橋の窓枠も第一艦橋にはクリアーパーツが用意されているのに、第二艦橋には用意されていない(そのため、エッチングも第二艦橋用の窓枠がない)のも少々バランスを欠いているように思います。
エッチングの方も手すりパーツは自分で長さを切り詰める必要があり、「大和坂」や船首のシアーラインに合わせたアールも付けられておらず、飛行機運搬軌条もイモ付け指定となっているなど、現在のフジミの1/700用エッチングと比較すると、まだまだ洗練度は低いようです。
とはいえ、1/500というスケールはコレクションと精密感のバランスがいいスケールですし、リベットや船体舷側のモールドは素晴らしいキットですので、フルハルモデルとしての迫力と、単一メーカーである程度のディティールアップパーツを揃えることができるという点では魅力的な製品です。個人的には、シールドなしの25mm機銃などの精密なアフターパーツが気軽に入手できるようになれば、より魅力を増すシリーズだと思うのですが、現在の艦船模型が1/350と1/700メインで進展していることを思うと、少々難しいかもしれません。
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