2006年10月23〜28日、関東旅行 船と博物館巡りの一週間



↑この日の見学予定は帆船日本丸、貨客船氷川丸、そして夕食を兼ねた新横浜ラーメン
博物館です。





翌朝は、AM5:45頃に自動的に目を覚まし、窓のカーテンを開けて二階建てのグリーン車を確認。
このような列車は関西のJRには存在しないので、関東にきたことを実感しました。 ほどなく、
車内に『ハイケンスのセレナーデ』のオルゴールが流され、車掌さんからの「おはよう放送」が流れ
ました。列車は時刻通りに運転され、まもなく大船、そして横浜に到着するとのこと。 充分な睡眠
をとるという意味でも、準備をするという意味でも丁度いい時間に寝て、丁度良い時間に起きられ
たのは、なかなか幸先の良いスタートと呼べるかもしれません。



横浜に到着する前に、懐かしのB寝台車も覗いてみました。



そして無事、横浜に到着、昨年はここから帰りの列車に乗りました。一年経って、またここに戻って
きたという気持ちですが、この日の天候は朝から随分酷く、まさしく大荒れの天気といわざるをえな
い状況でした。こういう点ではあまり幸先が良いとは言えず、少しばかり残念です。



ホームの屋根のある部分も完全に濡れている状態からも、天候の荒れ具合を改めて見ることが
できます。



この日(二日目)は、横浜の観光がメインとなるため、とりあえず拠点となる桜木町駅まで京浜東
北線で移動しました。まだ通勤ラッシュは始まっておらず、前回に品川で体験したほど窮屈な思
いをすることもありませんでした。



横浜から桜木町までは時間にして7〜8分ほどで、到着した頃はまだ7時前でした。



午前中に見学予定の帆船日本丸は10時にならないと開館しないため、これからどうしようか?と
考えていると、桜木町のホームにまた珍しい機関車が入線してきました。EH200という重連運転
が原則として設計されている大型貨物機関車で、西日本にはいない車両です。関東に住んで
いる人達にとっては珍しくもなんともないものかもしれませんが、関西から来た人間には、改めて
関東まで来たという実感を持つ瞬間です。 この列車は、タンク貨車をたくさん牽引したタンク
列車でした。



いずれにしても、ここままじっとしても何もはじまらないと、桜木町駅の正面入り口を出てみると、
テレビや雑誌でよくみる光景が目の前に飛び込んできました。ランドマークタワーや観覧車は
車で関東に来たときに何回も遠目には見ているのですが、実際に目の前で見るのは初めて
のことです。



しかしあまりに天候が荒れ模様のため、駅前のベックスコーヒーショップでモーニングプレート
を頼み、朝食とコーヒーを頂き、更にロイヤルミルクティーを飲みました。ベックスコーヒーショ
ップも、JR直営の喫茶店ということで、西日本には存在しないお店です。



天候が少しましになった頃を見計らって駅前周辺の様子を見てみることにしました。 
これは、ランドマークタワーと駅前を繋ぐエスカレーターと動く歩道の様子です。 良く
見ると、アーケードの右側に、随分大きな帆船のマストとヤードが林立している様子が確認できます。 

「ひょっとして、これが日本丸??」



こんなに駅から近かったとは知らず、喜び勇んで動く歩道に飛び乗ってランドマークタワー方
向へ向かうと、やはりそこには日本丸が停泊していました!これは、動く歩道のあるアーケード
から日本丸を見下ろしたカットです。



高層ビルと遊園地と帆船というなんとも言えないコラボレーションが、そこにはありました。日本
丸は写真ではもちろん見ていたのですが、やはり実物の迫力は想像以上でした。高いマスト、
幅の広いヤードは、18世紀以前の帆船とはまた違った風格を放っています。



右舷側の舷側と船橋付近。ぶっちゃけた話ですが、これまでHIGH-GEARedの帆船への興味は18世
紀以前のものに限られ、現用帆船にはあまり興味がなかったのですが、実物を見れば何かしら
得るものがあるだろうと、今回 日本丸を旅のプランに組み込んでみたのですが、いざ実物を目の
前にすると、その美しさに圧倒され、訪れてみて本当に良かったと思いました。 それまでの既成
概念は全て取り払われ、海の女王と呼ぶに相応しいその姿には文字通り「釘付け」になるのみです。



船尾の様子。鋼板の重なり具合が良く分かります。日本丸が建造されたのは1930年のことで、
当時の船の特徴として、鋼板の繋ぎ目にはリベットが多用されています。HIGH-GEARedが模
型で再現することの多い、日本海軍艦艇のものと似た仕組みになっているため、目の前で見る
ことによって参考になる部分が多く、大変ためになる見学となりました。



左舷側の様子。左舷側には下船口があり、橋が繋がっています。画像には映っていませんが、
右側には「マリタイムミュージアム」が併設されています。 



桜木町駅前に一旦もどり、その後、再び日本丸に戻って乗船しました。(船内移動の際に邪魔になる荷物
類はランドマークタワー内のコインロッカーに預けました)



いよいよ日本丸に乗船するところです。右舷側から乗り込み、まずは船橋下のメインデッキに
降り立ちます。



乗船してまず最初に目に入ってくるのは、日本丸の各デッキの平面図です。さきほどメイン
デッキと紹介した場所は、正式には凹甲板と呼ぶようです。その一段上が船首楼甲板、
凹甲板の下は第二甲板です。現用帆船独特の呼び方なのでしょうか?



ここは前部航海船橋です。ディーゼルエンジンを使用した港湾内での航海の際に使用する
船橋で、外洋での帆走航海の際には後部航海船橋を使用するそうです。 ディーゼルエンジ
ン使用時に限って使用される場所とあって、内部は近代船の雰囲気そのままに、様々な
計器類が並んでいます。 この船橋だけを見てる限りでは、帆船の雰囲気はありません。



前部航海船橋のフライングデッキから船首方向を見た様子です。船首には船首楼があり、
他のデッキより一段上がった仕組みになっています。



これは前部航海船橋より凹甲板上のフォアマスト(呼び方合ってるでしょうか?)の基部を
見た様子。ピンレールにビレイピンがたくさん刺してある様子と、各ピンに巻きつけられたロ
ープ類を見れば、この船が紛れもない「帆船」であることを実感することができます。



船首楼甲板中央部から船尾方向を見た様子。この写真ではあまり伝わりませんが、実際には
甲板には「かまぼこ状」に相当大きなアールがつけられており、慣れないとまっすぐ歩くのも
難しいような、独特の形状になっています。



船首楼からバウスプリットを見た様子。落下防止ネットが張られているあたり、人権に配慮した
現用帆船の雰囲気が見て取れます。古代欧州式帆船では「落ちるやつが悪い」と言わんばかりに、
何も取り付けられてはいませんでしたし、そのため航海中の落下事故はあとをたたなかったようです。



前の画像から、そのまま180度後を向くと、前部航海船橋の全貌を見ることができます。帆船
というと、マストを取ると甲板にはあまり構造物がないイメージがある方もおられると思いますが、
日本丸はかなり複雑に、さまざまな構造物が重なり合っている様子が伺えます。



今では貴重になった木甲板も、現役当時のまま残されています。今回の旅では、この日本丸
をはじめとして、貨客船氷川丸、戦艦三笠、南極観測船宗谷で、この木甲板を見ることができ
たのですが、「この4隻以外に、国内で見ることのできる木甲板の船を挙げろ」といわれたら、
何があるか?と考えなくてはいけないくらい、木甲板は現代では貴重なものです。 

日本丸ではチーク材が使われており、色調はこのように色あせた茶色(原色のブラウンに明る
いグレーを少し足せば調色できるかな?)です。 日本海軍艦艇も多くが同じくチーク材を使
用していますが、手入れが行き届いているため、現在の日本丸よりは明るい色だったようです。

しかしいずれにしても、このような木甲板の実物資料の保存は、模型作者にとってはありがたい
限りですね。(このデッキは昭和60年に一度張りかえられたそうです)



錨を巻き上げるキャプスタンの様子。写真には映っていませんが、このキャプスタンに差し込む
棒も、近くの壁に掛けられてありました。 帆船好きには有名な話ですが、このキャプスタンを
回すときだけは、船員は上官の悪口を言っても許されるという伝統があるそうです。 そういわ
れれば、帆船を扱った映画やドラマ等で、同様のシーンを見ることができます。その方が力が
湧くからでしょうか?(笑)



キャプスタンの隣には、船内工場があり、船匠さんが船の部品作りの様子を実演しておられま
した。工場内には陸の木工所、鉄工所に負けない充実した工具類が用意され、航海中のあら
ゆる事態に対応できるよう、設備が整えられている様子が分かりました。



船首楼甲板中央部から凹甲板に下りると、そこは船員の居住設備がならぶ居住区でした。
床張材や部屋の扉はなかなか豪華に作られていて、結構意外です。



凹甲板の中央部は、一部吹き抜けになっていて、日本丸のエンジンを見ることが可能です。
このエンジン、実は『日本初のディーゼルエンジン』なのです。 設計、開発は、焼玉エンジン
を作っていた池貝鉄工所によるもので、このエンジンは日本丸の中で54年動きつづけ、世界
一の稼動年数記録を打ち立てました。 また、日本丸に塔載されているボイラーは錨揚機や
操舵機に使われるほかに、調理室や浴室、船内の暖房にも使用されたそうです。



船内のビデオ室では、総帆展帆(そうはんてんぱん)というイベントの様子が映し出されてい
ました。総帆展帆とは、日本丸の帆を全て広げるイベントのことで、現在でも毎月のように行
われている日本丸の定例行事と言えるものです。



マストに登って帆を扱う船員の様子。この船員さん、実はボランティアだそうで、毎回100人く
らいが参加し、およそ1時間かけて作業が行われます。 



この時は帆を開くだけではなく、ヤードを風向きに合わせて調整する作業も行われるという
ことですので、この日本丸のマストやヤードは、現在でも充分使用可能なコンディションを維
持していることが理解できます。 総帆展帆の様子も、いつか見てみたいと強く思いました。



船内見学に戻って、こちらは調理室です。現役当時は調理専門の乗組員10人で、約200人分
の食事を作り、一日4食を調理したそうです。



ここは第一教室。航海中は、ここで海洋学の講義が行われたそうで、食事の場所としても使用
されました。 大きく天窓取られ、日当たりの良い広々とした場所です。



しかし、船内で広々としているのは第一教室のみで、通常の通路は基本的にこの狭さです。と
はいえ、天井の高さは充分あり、身長176cm程度のHIGH-GEARedでも背筋を伸ばして歩くことが
可能です。赤いじゅうたんもゴージャスな雰囲気を演出していますね。



ここは士官サロンです。第一教室の士官版といった場所で、会議室兼食堂として使用されました。
ちなみにこの士官サロンの真下の船倉は、戦時中は弾薬庫として使用されていたそうです。



士官サロン天蓋にあった見事なステンドグラス。ステンドグラス製作を趣味にしているHIGH-GEARed
の父に写真を見てもらったところ、中央部が重みで膨らんで落ちてこないように、上からワイヤーで吊る
すという工夫がなされているようです。



その後、タラップを上がって再び船首楼甲板に出ると、そこには無線室がありました。日本丸
の船名符号は「JFLC」で、航海中は通信長と二人の通信士が交代で常時当直をしていたそ
うです。また、日本丸には通常の無線機のほかに、ファクシミリ受信機が装備され、航海中で
も天気図や新聞を見ることができました。



船首楼甲板中央部から右舷船尾側を見た様子です。煙突と救命艇、キセル型通風筒が見えます。



一方、こちらは左舷側船尾付近。なんと言っても舵輪が目立ちます。帆船の舵輪が船尾につ
いている理由は、マストと帆の状態を確認しながら操舵する必要があるためです。舵輪を扱う
船員は、通常時は2人ですが、時化の際には4人がかりで操作する必要がありました。舵輪の
後にフードがありますが、これは高波で船員が流されないようにする目的で取り付けられたものです。



今度は右舷船尾側から船首方向を見てみました。林立するマスト類が本当にカッコいいの
ですが、静止画ではその雰囲気が上手く見せられないのが残念です。



煙突付近のキセル型通風筒。山育ちのHIGH-GEARedにとっては、こういうものでも実物を見
る機会は少ないので、貴重な資料となりえます。



残念ながらスケジュールの関係で、そろそろ下船の時間となりました。この日は、日本丸のほ
かに「マリタイムミュージアム」、「貨客船氷川丸」、「新横浜ラーメン博物館」を周らねばならず、
ここでじっとしている訳にはいきません。 あとになって思えば、最も忙しかった2日目です。



また来るまで、その美しい姿を保っておいてくれ!と祈りながら、後ろ髪を引かれる思いで
日本丸船上をあとにします。

アオシマの1/100日本丸を作りたい!と強く思ったHIGH-GEARedでした。



次に訪れるのは、日本丸から徒歩10秒の距離にある、このマリタイムミュージアムです。しかし
残念ながら写真および映像の撮影は不可能ということで、詳しい画像付きレポートは今回掲載
できませんでした。

マリタイムミュージアムの展示室は地上1階地下1階の二階建て、広さは2500uと、それなりに
大きなもので、常設展示室は「帆船日本丸」「横浜港の歩み」「横浜港の姿」「船の変遷」「世界
の港」などの5つのゾーンに分けて展示されています。

帆船が風向きに合わせてどのように進んでいくかを学ぶことのできるシュミュレーターや、実在
する船を精密に再現した模型の数々、横浜港の歴史などが分かりやすく展示されていました。

ぜひとも画像付きで紹介したかったです。 

ミュージアムショップには、様々なマリングッズが用意されていて見ているだけでも楽しく、
HIGH-GEARedもいくつかお土産を購入していきました。

そこで、今回の旅行記では購入したお土産品を、その都度全て紹介して行こうと思います。


思えばHIGH-GEARedがお土産大好き人間になったのはいつからでしょう?? 詳しい
時期などは分かりませんが、以前は貧乏旅行ばかりしていたのでお土産品を買うことは
できず、ドッサリ買い込んで行く人がとてもうらやましく見えた事が要因のひとつという気
がします。

また、旅から帰還して日常に戻ると、旅の記憶はすぐに遠ざかってしまい、まるで夢か幻
だったのではないか?という気持ちになることがあるので、「間違いなく自分は旅に出てい
た」ということを確認する手段としている点もあります。(ですので、食べ物などではなく形の
残るものを買うようにしています。)

そこで、今回の旅では お土産品にも膨大な予算を投下して買いあさることになりました。



日本丸で買ったお土産はこの二点です。日本丸のアンカーをかたどったオブジェは木製
台座付きの豪華版で、将来日本丸の模型を制作した際等に一緒に展示するのに相応
しい品といえます。(アオシマの1/100日本丸欲しいなぁ・・・)



そしてこれは日本丸チョロQです。チョロQとはいえ、ディティールの省略は最小限の
もので、マストが破損しにくいように軟質性樹脂で作られていたり、手摺が透明パーツで再
現されているなど、数々のアイデアが取り入れられており、ディティール派のHIGH-GEARed
も脱帽の完成度です。



チョロQですから、もちろんプルバックモーター塔載で走行可能(水上走行は不可)です。
しかしぶつけたり落としたりするリスクが高いので、とてもそんな遊び方はできません。(笑)

ここでは残念ながらマリタイムミュージアムの全貌を紹介できませんでしたが、公式ホームペ
ージが存在するので、興味のある方はそちらで展示内容をご確認ください。

日本丸・横浜マリタイムミュージアム公式サイトへは、ここをクリック(別ウインドウで表示します)


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