地元町民限定、世界遺産平城宮跡大極殿再現工事現場見学会と大相撲元前頭大至さんとの出会い




最近では車や模型や音楽に関係ない写真集をたくさん掲載していますが、今回はHIGH-GEARedの
地元で行われた行事を紹介します。

HIGH-GEARedの住んでいるところは奈良市の平城宮跡ととなりあった小さな村(?)です。

平城宮跡とは、平城京のあった約1000年前の日本の首都にあたる場所で、当時天皇が座っていた
と思われる場所まで、家から急げば走って1分余りで行くことも可能な、まさに遺跡の中に住んでいる
と言っても過言じゃない場所に住んでます。

< 現在、この平城宮跡は世界遺産に登録され、国を挙げて当時の建造物の再建が行われています。

今回紹介する大極殿は、当時天皇が住んでいた建物で、都の出入り口を再現した朱雀門の再現に
続く一大プロジェクトです。完成は2010年の予定なのですが、今回は地元町民限定の工事現場見
学会に参加させていただいたので、写真を撮影してきました。

また、この件とはまったく別件ですが、この日は偶然にも元大相撲前頭3枚目の大至伸行さんにお会
いすることができたので、一緒に写真を撮って頂きました。その件も最後に紹介しておきます。



うちから歩いて1分以内のところにある庭園跡です。よく、他府県から来た人に「これは何?」と聞かれ
るのですが、これは宮殿の柱に見立てた植え込みです。HIGH-GEARedが少年の頃は砂利が敷か
れてキレイに整備されていたのですが、最近では雑草生やし放題でかなり荒れています。大極殿が
完成する頃にはもっと美しく整備されることでしょう。



このスラム街にありそうなバス停も大極殿完成の暁にはきっと立派なものに作り変えられるのだろうと
思います。バス停の前の主要道路はコンクリート舗装になっており、足回りに手を加えてある車で通
過するのにはとても苦労することもあって、こちらに来られる方には大変不評です。(苦笑)



再建工事は文化庁が中心になって行われているようです。ちなみに、この看板は自宅からでも見え
ます。それまではどこまでも遠くの景色が見えたものですが、かなり景観は損ねられているような気が
します。中から立派な御殿が姿を現すまでの我慢ですね。



立ち入り禁止と書かれているところを通れるのはなんとも言えず優越感があるものです。(笑)



敷地の中にはいくつかの建物があり、ここは木材を加工する場所です。見るからに超高級な木材が
陳列してあります。再建には大工の使う道具まで厳選され、当時の宮大工と同じ工具、そして当時と
同じ加工方法で作業が行われています。



天井に無数に描かれる蓮の花の絵もすべて手書きです。ここでは絵付けの工程が書かれています。
もちろん、絵の具は当時と同じ天然の岩絵の具が使用されます。



下絵と寸法。



書かれた絵はこうして天井の枠の中にはめこまれ、美しく彩ります。



図面も展示されていました。各部品などの寸法も正確に描かれていたので縮尺にあわせて部品を
ひとつひとつ切り出していけば、超リアルな大極殿の模型を作ることも可能です。(笑)



これは柱に使われる檜材です。今回の大極殿の再現には樹齢300年の檜が44本使われ、一本の
価格は約\30、000、000!合計にすると柱だけでも\1320、000、000!!柱だけでもこの金額でさ
らには梁や土台、屋根の製作や加工賃などを合わせるともはや数十億円の世界でしょうか?以前
に建造された朱雀門の建造費も30億円を越えたといわれてますから、倍の大きさの大極殿は100億
を越えてもおかしくないのかもしれません。



この建物は大極殿の図面を保管するところです。図面ひとつ保管するのにどうしてこんなに大き
な建物が必要なのかわかります? なんとここに置かれている図面は全て実物大のものなのです。
古来の日本建築の微妙な曲線は縮小した図面を使っても再現できないため、実物大の図面を起
こして綿密に材料を切り出すのだそうです。



そして、いよいよ大極殿の建設現場に入ります。見てのとおり、完成まではこうして仮設の工場に覆わ
れ、雨風から建物を守るように作られています。写真から見ても大きさが伝わるでしょう。何から何まで
非常におおがかりな工事です。



中は木造と鉄骨と足場同居するある意味不思議な空間が展開されてました。一回部分の骨組みは
およそ完成されているようです。一本\30、000、000の柱が整然と並べられています。



天井はまだ完成していないため、上をみると工場の天井が見えます。仮設の建物とはいえ、10年の
工事に使用するため、非常にしっかりと作られているのがわかります。



これは天井の格子を上から見たところです。正確に切り出された木材がパズルのように美しく組みあ
がっている状態がよくわかります。この格子のスキマに先ほど用意されていた蓮の花の絵が埋め込ま
れるようです。



こちらは格子をはめこむ前の状態の天井です。現在の技術でも驚かされる精度の作業ですが、こ
んな建物を1300年も昔に建造していたと考えると、日本人の手先の器用さもすてたものじゃないと
思います。奈良に生まれたことに誇りをもてますね。



天井を支える台も素晴らしい職人的な作りになっています。床のように見えるのは仮設の足場で、
工事の進行状況にあわせて上下し、そのつど新しく作り直されるものなのですが、見てのとおり指一
本分のスキマが均等につくられていて、こんなところにも職人の魂を感じることができました。



鉄骨部分を避けるようにキレイに仕上げられた足場。職人達が自分の仕事に誇りを持っていることが
伺える作りです。仮設のものにも関わらず、スキマは実に1ミリあるかないかという仕上がりでした。



では職人の仕事をアップでみてみましょう。釘などはいっさいつかわれていないようです。



この基礎は阪神淡路大震災級の大地震にも耐えられるよう最新の仕掛けがしてあるそうです。1300年
の歴史文化と最新技術のなせる見事なコラボレーションですね。



これは現地で配られていた福寿園のお茶『伊右衛門』の平城遷都1300年記念エディションです。のちの
ちプレミアがつきませんかね?(笑)



こちらは大極殿からみて近鉄奈良線を挟んで向かいに見える朱雀門です。1991年から建造がはじま
り、1997年に完成しました。「朱雀門」は平城宮の正門で、当時ここでは外国使節の送迎や、天皇の
祝賀行事などが行われたと言われています。 こちらの再建にも伝統とハイテクをコラボレートした
技術が採用され、完成後500年以上の使用に耐えうる耐久性を持つといわれています。



そして話題は全然かわりますが、この日、午後から祖父母の入居している老人ホームを訪ねてみた
ところ、元大相撲力士前頭三枚目の大至伸行さんが偶然ホームを訪問しておられ、お会いすることが
できました。現在ではお得意の相撲甚句のレコーディングなど音楽の活動をメインにされているそうで、
この日もホームの皆様を元気付けるために自慢ののどを披露されていました。



相撲甚句は伴奏のないまさに声だけの真剣勝負。大至さんのお声は聴く者全てを聴き入れさせて
しまう説得力があります。曙関や若貴関との対戦の感想や、小錦関に立ち合いの当たりを褒めてもら
ったことなど、現役当時の思い出話を聞かせていただきました。そのうえ、光栄にも名前と日付入りの
サインまでしていただきました。当日はホームの皆様を力づけるために来られたというのに、僕のような
おっさんを相手にしてくださり、とても素晴らしい方だと感激しました。

2004年7月17日は、ジャンルは違えど、日本文化に触れ合えた思い出に残る日となりました。


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