大阪水上バス株式会社『サンタマリア』




新大陸発見で著名な名船を、なんと2/1スケールで再現

大阪南港天保山を発着する港内クルーズ船のサンタマリアは、コロンブスが新大陸発見の際に乗船していたと言われる船を2/1スケール(実船の約2倍)で再現した帆船型観光船です。

デッキ構成や樽型の船体など、外観面で往年のカラック船の特徴をうまく捉えつつも、高い居住性と乗り心地の良さを両立した、帆船型観光船としては極めて完成度の高い船でした。


乗り場の様子



乗船桟橋の様子。待合室は、全国屈指の水族館『海遊館』や、大型商業施設『天保山マーケットプレイス』などと直結しているため、乗船前後の時間つぶしにはまず困ることのない立地となっています。 しかし建物から桟橋までの間には屋根がないので、雨天の日には傘が必要になるところが少々ネックかもしれません。

外観



サンタマリア号、右舷よりの全景。船形もデッキ構成も、大航海時代を代表するカラック船の形状をとても忠実に再現しています。後部の角窓はレストランのものですが、赤く縁どりされた外板の飾り板が色的に主張するため、あまり目立たず、帆船の雰囲気を損ねないように配慮がなされています。


帆船の大きな特長であるバウスプリットも妥協なく再現され、実際に船首に人が立てるようになっています。手すりも角材をイメージしたもので、カラフルな楯が装備されるなど、細かな装飾にも一切の妥協がありません。


唯一、隠し様がない船橋ですが、クローネスト(見張り所)を偽装し、船体に合わせたデザインと塗装で少しでも存在感をなくそうという配慮の跡が見られます。


天保山のサンタマリアはディーゼル機関で航行するため、帆は使用しませんが、停泊中のみ、ダミーの帆が掲げられます。この帆は出港直前に折りたたまれてしまうので、実際の帆船の出港手順とは逆の準備が執り行われることになります。


後部からの様子。ここにも、流用と省略の上手さが際立ちます。スターンギャラリーは係留作業甲板になっており、内部機械の様子は外からほとんど見えません。煙突は自動車やバイクのマフラーのように後ろ向きに取り付けられており、これらも帆船イメージを損ねないように工夫された部分です。船尾には縦長の舵も見えますが、恐らく吃水線上のみのダミーと思われます。

デッキの様子



デッキはほぼ全てのフロアが木張りとなっています。これは観光遊覧船では極めて珍しいことで、維持に手間と予算がかかる木製甲板を敢えて採用しているあたりにも、帆船型遊覧船としてのこだわりを感じます。


デッキはほぼ全てのフロアが木張りとなっています。これは観光遊覧船では極めて珍しいことで、維持に手間と予算がかかる木製甲板を敢えて採用しているあたりにも、帆船型遊覧船としてのこだわりを感じます。


アッパーデッキの様子。大砲などの小物や、ベンチと一体化させたグレーチングにセンスを感じます。私は10年ほど前、火災によって焼失する前の帆船プリンス・ウィレム号に乗船したことがあるのですが、サンタマリア号は船の構造自体は違っていても、本格的な木製帆船にけして負けていない作りの良さを感じました。

船内の様子



レストランは、ほどよく近代的にシックに落ち着いた空間となっています。頼めるメニューは普段は軽食やドリンク類がメイン になっていますが、クリスマスクルーズなどのイベントクルーズでは、フルコースディナーも楽しむことができ、人気を博しています。


船首側の船内は、コロンブスと新大陸発見についての資料を陳列したミュージアムになっています。大航海時代の航海の様子や、この船のモデルとなった1400年代のサンタマリア号について詳しく紹介され、往時を偲ぶことができるようになっています。ちなみに、コロンブスの新大陸発見の航海はサンタマリア号一隻で行われたのではなく、ニーナ号とピンタ号という二隻のカラベル船を含む3隻の船団によって行われました。


天保山のサンタマリア号は、港に注目の船が停泊しているときには、その近くをゆっくり航行してくれるサービスもあります。画像は海上自衛隊護衛艦『あたご』と、キュナードライン『クイーンメリー2』をサンタマリア船上から撮影したときの様子です。




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