1/700スケール 一等戦艦 富士
フォーサイト シールズモデル製インジェクションキット













SealsModel インジェクションキット 1/700

自身の30歳の誕生日を境にはじめた1/700日本海軍主力艦コレクション、三景艦、
鎮遠に続いて、日本海軍初の近代型戦艦である、一等戦艦「富士」の完成です。


***実艦について***

富士は、フランス製の松島、橋立、厳島建造の失敗を受け、新たなる「定遠」「鎮遠」
対策の主力艦として第二期海軍軍備拡張計画に基づき、イギリスのテムズ造船所に
建造が依頼されたもので、公務員給与および、明治天皇の宮廷費を削減するなどの労
苦の末、ようやく手に入れることができた近代戦艦です。

設計は、当時の世界最新鋭戦艦「ロイヤル・サブリン型」をもとにしたもので、主砲
はロイヤル・サブリン型の34cm主砲より一回り小さい30cm砲ですが、速射能力で上回
り、被弾に強い密閉型主砲塔を採用していたのが特長です。

また、防御面においても非常に頑強な「複合甲鉄」を採用し、舷側装甲の厚みは、な
んと455mmもありました。

鋼材の質が違うために単純比較はできませんが、あの大和型戦艦の舷側装甲厚が410mm
ですから、厚みに関しては上回っている計算になり、歴代日本海軍艦艇の中でも最大
の舷側装甲を持つ艦でもあります。

また、艦名に日本を象徴する「富士山」の名前が使われていることからも、当時の
海軍における、この戦艦への期待の大きさが伺えます。

こうして、ようやく世界列強レベルの近代戦艦を手に入れることができた日本海軍
ですが、「富士」と同型艦の「八島」が竣工する頃には日清戦争は終結しており、
活躍の中心は日露戦争となりました。

日露戦役において、富士は日本海海戦にも参加し、日本海軍最強の第一艦隊第一戦隊
にて戦艦「三笠」戦艦「敷島」に続く三番艦として戦列に加わり、ロシアのバルチッ
ク艦隊を撃破する活躍をしました。

日露戦争終結の後、富士は海防艦、練習艦などの任務を歴任し、太平洋戦争終結後の
1945年11月30日まで撃沈されることなく現役を続けました。 歴代日本海軍艦艇の中
でも、非常に長寿な艦でもあります。




一等戦艦「富士」(1897年竣工 イギリス テムズ造船所)

常備排水量:12734トン 兵装:アームストロング式40口径30センチ連装砲2基4門他


***キットと製作について***

今回製作したキットは、シールズモデル製で、以前製作した三景艦と同じメーカーの
ものです。

明治の艦艇を豊富にラインナップする同社は、明治艦の好きな人間にとって、まさし
く救世主のようなメーカーです。

模型の大きさを考えれば、価格はそれなりに高額になりますが、完成度は期待を裏切
りません。

富士型戦艦のキットは、同社の三景艦や戦艦三笠と比べると、部品点数を少なく抑え
てあることが特徴で、艦橋はフライングデッキと羅針艦橋、さらには指揮所まで豪快
に一体整形されていて驚かされます。(笑)

船体は、舷側に速射砲が増備された同型艦の「八島」との作りわけを可能にするため、
砲門を4箇所埋めるように指定されていました。

製作は基本的に素組のままで、ディティールアップは今回も手摺、ラッタル、空中線
などの簡易的なものが中心ですが、主砲身は富士用の真鍮挽き物砲身がリリースされ
ていない関係で、真鍮材を使って自作しました。(画像三枚目)


↑外径1、1ミリ、内径0、93ミリの真鍮パイプの中に外径0、9ミリ、
内径0、73ミリの真鍮パイプを差し込んで段付きを再現し、基部に
0、7ミリ径の真鍮線を差し込んで芯棒にします。

そして砲塔側にピンバイスで取り付け穴を開けて差し込めば、強度も充分に稼げます。

この方法だと、本物の砲身にある微妙なテーパーこそ再現できませんが、1/700のこ
の時代の口径だとさしては気にはなりませんし、プラ製の砲身と比べると直線と真円
度が段違いですので見た目はかなりシャープな印象になると思います。


↑真鍮パイプを組み合わせて自作した主砲身の完成画像

キットパーツは、船体や甲板のパーツの合いは良いのですが、シールズモデルの明治艦
シリーズに共通して入っている武装ランナーのパーツとの合いがあまり良くないところ
があります。

中でも前後部の艦橋構造物の下にもぐりこむ形で装備される副砲は、そのままでは高
さが高すぎるので、砲座の基部および、シールド上部のリブを削って背を低くして取
り付けました。

また、短艇の取り付け架台も、一部艦橋基部と干渉するところがあるので削って調整
しました。

その他の部分については、何の問題もなく正確に組み上げることが可能です。


↑開放式の速射砲デッキは三笠などの敷島型戦艦と違う部分のひとつで、
艦船の構造美を感じさせてくれます。


↑戦艦富士、左舷前方より。


↑前回に完成させた二等戦艦鎮遠の模型と見比べると、格段に近代的
な姿をした戦艦になったことが良く理解できます。明治維新より臥薪
嘗胆を重ね、ついに東洋一の戦艦を配備することができた、当時の日本
海軍の喜びはいかばかりであったことでしょう?

(↑余談ですが、1/700鎮遠の空中線に、早速レジン収縮の影響がでてますね)


**総括**

今回も、ディティールアップは、基本的には手摺とラッタルをエッチングパーツで追
加したのみで、あまり派手なことはしていません。

船尾のスターンウォークの手摺も、本当なら菱形パターンなのですが、予算の関係で
通常の2段手摺にしてあります(笑)

空中線の再現も、もっと複雑化させることは可能なのですが、これから同様のマスト
構成を持つ艦艇を8隻(八島、浅間、磐手、出雲、常盤、敷島、初瀬、三笠)製作予
定ですので、あとあとのことを考えて抑え目の表現としました。(爆)

富士の完成した姿を見て、率直に出てきた感想は

「なんてカッコイイんだ!」

艦の艤装配置は、三笠等の敷島型戦艦とほぼ同じですが、洗練されていない魅力とい
うか、無骨さに加えて、地を這い、獲物を狙うかのようなワイルドな魅力があります。

開放式の速射砲デッキもメカニカルな魅力に溢れていて、短艇取り付けフレームにも
艦船の構造美を感じました。

富士型戦艦については写真や模型写真、CG資料などでその形状については知ってい
ましたが、手元で立体化することで、また新たな魅力がたくさん見えてきました。

これこそ、模型を作る醍醐味という気がします。

これでまた、日本海軍の歴史を語る上で欠かせない艦のうちの1隻を手元にそろえる
ことができました。

次回の1/700年代順コレクションは、富士型戦艦の二番艦「戦艦 八島」の予定です。

同型艦ということで、富士とほぼ同様の艦容ですが、富士がテムズ造船所の建造だっ
たのに対し、八島はエルジック造船所による建造で、舷側速射砲の門数が片舷2門
ずつ増備され、缶室吸気口などの配置にも若干の違いがあります。

次回はそれらの同型艦の細部の違いなどにも注目しつつ、製作を楽しみたいです





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