1/120スケール 帆船 コンステチューション
イマイ製キット
IMAI 今井科学 1/120
2003年のエアフィックス帆船セントルイス以来2年半ぶりの帆船キットの紹介は、このサイト
のPHOTO GALLERYで最期の展示会の様子をお伝えしたイマイのプラ帆船です。
イマイの倒産と共に急いで入手したキットですが、最近になってようやく機会ができたので
製作してみました。
前回紹介のエアフィックス製のキットとは違い、さすがは国産キットと思わせる丁寧な作り
こみと細かいモールドで、完成した姿は帆船プラモデルとしてはなかなか堂々としたもの
で、製作者としてもお気に入りの作品のひとつとなりました。
なお、IMAIの大型帆船プラモデルはその後アオシマから一部再生産されましたが、日本丸
海王丸、ゴールデンハインドや黒船がリリースされたにも関わらず、このコンステチューショ
ンは人気がないのか?再生産リストには載りませんでした。
コンステチューションのプラキットといえば、レベルのものが完成度が高く、有名ですが、
イマイのものはコストパフォーマンスが高く、組み立てやすいので、これもなかなか価値
のあるキットと、実際に組み立ててみて改めて思いました。
真横から少し見下ろしたアングルです。フリゲート艦独特のスマートな艦容が特徴です。
木製帆船のコンステチューションの作例などを見ますと、このキットの造型とは異なる部
分が多く、形状に関してはいろいろ解釈があるようなのですが、今回製作にあたって現在
もアメリカ海軍の艦籍を受け継ぎ、保存されているコンスティチューションの公式サイトを
見る限り、このキットは現在の状態を忠実にモデリングされているようだったので、カラー
リングなども実艦の写真を参考に、現在の姿を再現するよう心がけました。
アメリカ海軍内、USSコンステチューションの公式サイト
クリックすれば別ウインドウで開きます
↓↓↓↓
Official Homepage of USS CONSTITUTION
スターン側から左側面を見た図です。大砲がズラリと並んだ図が壮観ですね。年代的に
は帆船時代の末期のものといえ、この時代の船には船底に銅板が張られるなど、腐食
防止のための工夫もなされています。
竣工は1798年のことで、練習艦時代も含めて1897年まで活躍しました。
鋼鉄艦の戦艦三笠が1902年竣工ですから、その5年前まで現役を続けていたといえば、
いかにこの艦がアメリカ海軍に大切にされていたかが良くわかります。
多少ピンボケを補正したあとがある画像ですが、真上からの撮影です。アッパーデッキ
は一枚で、船首楼、船尾楼などはありません。 帆船も末期には比較的平坦でシンプル
なデザインに進化しました。
前回製作のセントルイスとのツーショット。スケールはまったく違うのですが、とにかくこの
コンステチューションキットはデカいです。全長が74cm、幅が30cm、高さが55cmもある
ので、展示する場所や保管しておくスペースなどをしっかり考えて作らなければなりません。
**製作について**
セントルイス製作記でも書きましたが、プラ帆船が木製帆船を超えるのは基本的に不可
能ですし、とても敵わないというのが正直なところですが、木製帆船は時間と手間と予算が
かかるものですので、手軽に作ってコレクションできるプラ帆船も模型としての価値は捨て
たものではないと思います。
それなりに見栄えがする完成度にするには塗装がカギです。
こういうキットは製作前と完成後の変身ぶりが面白いので製作前の画像も撮影しておきま
した。 ご覧のように「ひらき」になった船体が入っているので左右を接着して甲板を接着
すれば美しいフリゲート艦の船体が出来上がります。
少しアップにしてみればこのキットの良さが見えてきます。木造帆船独特の板目はもちろ
んですが、一枚一枚の板の木目までがモールドされています。せっかく板目と木目が再
現されているのですから、これらのメリハリを出すために、塗装後エナメル塗料で軽くウォ
ッシングを施してわずかな汚れを再現しました。
塗装後の様子。白帯は船体とのコントラストを考えて灰色9号を塗装しました。木の上に
塗装されている雰囲気を出すため、下地にはサフ処理の上にイエロー→タンを塗装し、
白帯を薄めに塗装、さらにつや消し黒の順番で塗装しました。 ウォッシングは白帯部
分に薄めたエナメルブラックを、黒色部分はエナメルのミディアムグレイを使用しました。
重ね塗りが多いので塗膜が分厚くならないように、エアブラシ塗装には細心の注意を注
ぎました。アップにすれば、木目のモールドがちゃんと生きていることがわかります。
木甲板も板目と木目が凹モールドで彫られているので、船体と同じようにウォッシングで
モールドのメリハリを強調しました。 木甲板の塗装はサフ→イエロー→タン→ウッドブラ
ウン→クリアーイエローの順番です。 黄色いファイフレールやボート類も、全て下地に
タンを塗装して木に近い下地の発色を意識しました。
銅板張りの船底は、少しくすんだ色にならないものかと、カッパーを塗装する前に艦底
色を下塗りしました。 この部分もリベットの一本一本まで繊細にモールドされていると
ころが嬉しい配慮と言えます。
マストは基本に従ってバリ取りとヒケ埋めを丁寧に行ってプラっぽさを消す作業が中心
となります。この部分もタンを下地に塗って灰色9号を薄めに塗装しました。茶色い部分
はタン下地にマホガニーのコーティングです。
リギングは説明書の指示に従って行いました。省略の多い仕上がりですので、今後資
料をあたって少しずつ追加していきたいと思います。 また、ラットラインもプラ製で少々
実感にかけるので、木製帆船用の糸と三目滑車で編めば見栄えがしそうです。
台座はプラ製のものが付属していましたが、模型映えを考えて木で自作しました。塗装
はアサヒペンのウレタンニスで、ローズを塗り重ねて磨きこみ、滑らかに仕上げました。
台座とネームプレートはGSIクレオスのゴールドを吹きつけ、クリアーイエローを薄めたも
のをコートしてメリハリのある発色にしました。
文字部分はいったんエナメルブラックを塗装してからエナメル溶剤で磨き出す方法で浮
き立たせました。
**総括**
今井科学こと、株式会社イマイはもうこの世にはありません。ですので、パーツを紛失し
たり、処理を失敗するわけにはいかないので、組み立てにはそれなりに神経をつかい
ました。
完成すると随分大きいので、インテリアとしても艦船模型などと比べて絵になるものかも
しれません。
このキットは購入から組み立てまで2年半を要し、なかなか機会がなかったのですが、
無事完成の日の目を見ることができて満足のいくものになりました。
帆船模型は現在あまり人気のあるカテゴリーとはいえませんが、20年ほど前には流行
した経緯もあるので、団塊の世代の方々が引退する今後は、またどこかで人気をぶり
返す可能性もあるのではないか?と考えています。
ネットを見ても、プラ帆船の製作記事や情報交換は比較的少ないのですが、話題のあ
るところにはあるもので、しかも比率としては熱心なファンの方が多く、ネットオークショ
ンなどもで激しい入札競争を見ることが多いので、またこうしたジャンルの模型も話題に
なってくれればと思います。
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