1/50スケール 蒸気機関車 C62 2 スワローエンゼル
アリイ製プラモデル
ARII (オオタキ) 1/50
HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!では、これまで帆船プラモデルや建築プ
ラモデルなど、「あまり陽の目を浴びることのないキット」をいくつか紹介してきまし
たが、今回もその類のひとつ、アリイの1/50蒸気機関車プラモデルを紹介します。
鉄道プラモデルが流行しない理由は、ファンの興味の大半が実際に走らせて楽し
む規格化されたNゲージ(1/150)やHOゲージ(1/80)に移ってしまっていることが
理由で、木製模型が主体となって人気がなくなった帆船プラモデルと似たような
状態と考えています。
しかし、たとえばNゲージで蒸気機関車のような複雑な造形の車両をモデル化す
るとなると、一般完成品ではどうしても省略が多くなってしまいますし、動力機構が
必要なためキャブにモーターが飛び出したり、またそれらを克服した少量生産メ
ーカーの特製完成品は安くても定価5万円以上、高ければ天○堂のように10万円
前後(HOスケールなら50万円くらいする製品もあります)と、とてもお求めやすい
価格とはいえないのが実状です。
そんな中、走ることにさえこだわらなければプラモデル形式の利点で大きなモデ
ルがお求め安いアリイのキット(otakiの設計です)も悪くないかもしれないと思い、
プラの弱点であるバリとヒケの処理と金属モデルと比較して劣る質感の克服を
テーマに、今回この陽のあたらないキットを購入し、組み立てることになりました。
旅行記などをご覧の方ならうすうすお感じのことかもしれませんが、HIGH-GEAR
edは車に限らず乗り物への興味はジャンルを問わず、鉄道車両も例外ではあり
ません。
少年の頃には典型的な鉄道少年だった時代もあるのですが、最近列車で遠出
をする機会が増えたことから、また少し興味が戻り始めました。
今回モデリングしたC62の2号機は京都の梅小路蒸気機関車館に動態保存(実
際に石炭を焚いて走行できる状態です)されているため、製作前には実際に梅
小路に出かけ、実車の写真と映像をくまなく撮影し、参考にしました。
キットは基本的に素組なのですが、説明書のパーツの取り付け位置が実に曖昧
にしか記載されていないため、これらの資料は大変役にたちました。
↑左下に映っているプレートは、梅小路にて購入した記念品です。レール
は枕木とレールと道床が一体となった味気ないものでしたが、個別に塗装
し、トミックスのカラーパウダーで仕上げました。
キャブ周りの様子。今回は「贅沢な素組み」というテーマでいろいろな塗料
を試しました。ロッドと動輪の金属部分にはGSIクレオスの金属粒子入りスー
パーメタリックカラーを使用しました。
キャブ内のディティール。残念ながらC62 2のキャブ内の写真を撮影するこ
とができなかったので資料がなく、C57 1の動態保存機(やまぐち号)の資料
を参考にしました。 このあたりはかなり間違いがあるかもしれません。
**車体の製作**
このキットを組んだ経験がある方でしたらわかるとおもうのですが、素組とはいえ、
素組で完成させることすら実は大変困難なキットです。 なんせ部品のバリ、ヒケ、
反りがひどく、正直、HIGH-GEARedがこれまで経験した中でも最悪といえる状
態でした。
こういうキットは初心を忘れない丁寧な作業とプラモデル製作の基本的な技術が
問われるものとあって、ディティールアップが前提となっている普段の艦船模型
などと比べて基本を学習しなおす良い機会になりました。
↑ほとんどのパーツにはこのようなパテ盛り→サンディングの修正作業が必要に
なります。はっきりいって余計な作業と言えますが、キットに対する愛情や思い入
れが問われる作業ですので手を抜くことはできません。
↑下塗り状態のボイラー部分。今回は下地にシルバーを吹きました。このやり方
は非常に変則的というか、否定される方も多いと思いますが、下地に金属色を塗
装することで、結果的に金属に塗装した発色に似た発色を得ることができました。
もちろん、本物の金属キットに塗装した発色にはおよびませんが、プラに直接塗っ
た状態が0パーセント、金属に塗った状態が100パーセントとすると、60パーセントく
らいは達成できた気がします。
結果的に上塗りの塗膜は弱くなるデメリットがありますが、少しくらい黒塗装が剥が
れて下地のシルバーが出てきた方が実感的とも言えます。(笑)
また、カタマリ感が重要な蒸気機関車ですから、ボイラーとランボードの間にはスキ
マを作らないように、流し込み接着剤を注してスキマを完全に埋めました。
ハンドレールは取り付け位置を指定位置に取り付けると直線が出ないため、若干の
取り付け位置変更も行いました。 余裕があれば金属線に交換してみる手もありそう
です。
↑ラダーフレームはこのようなパーツがなんと一体整形で用意されていました。
普段艦船模型ばかり作っていると、モノコック構造の本体パーツを見慣れてしまう
のですが、ジャンルの違うモデルを作るとこうしたなんともいえない発見があります。
こういう成型は特殊技術なのでしょうか?
珍しい形ですがこのパーツに限っては反りもヒケもなく、とてもしっかりしたパーツ
でちょっと感動しました。
**下回りの組み立て**
ラダーフレームはしっかりしたパーツでしたが、ランナーパーツは基本的にひどい
痛み方をしていました。
↑ご覧の動輪のパーツもボックスが抜けていないので全てピンバイスで空けなお
す必要がありました。
動輪および車輪は銀メッキのパーツが同梱されていましたが、いかにもオモチャっ
ぽいメッキで実感にかけたので、これをいったん塩素系の漂白剤で落とし、GSIクレ
オスのスーパーメタリックカラーをエアブラシで吹き付けました。
このスーパーメタリックカラーは金属粒子を配合した実感的な金属色で、今回は
接地面に「スーパーステンレス」、側面に「ダークアイアン」の2色を使用、ロッドに
はクロームシルバーを使用しました。
↑動輪の接地面と側面の塗りわけ。マスキングテープは動輪の径に合わせたマス
キングテープをサークルカッターで切り抜いてマスキングしました。
しかしせっかく手間と予算をかけたにもかかわらず、割と似通った2色とあって、おもっ
たほどの効果はでませんでした。(苦笑)
↑塗りあがった動輪。その他の車輪も同じく処理します。
各種車輪とシリンダーをラダーフレームに取り付ければ、あとは実物どおりにロッド
を組み付けるのですが、この作業はビス止めで行います。
このロッドのパーツも他のパーツと同じく痛みが激しく、ビス止め穴が空いていない
パーツもあれば、穴が大きすぎるパーツもあって苦労させられました。
苦労した甲斐あって、なんとか動輪とロッドをガチャガチャ動かすことができます。
↑ほぼ全てのパーツを取り付けたラダーフレームです。実車の仕組みが良くわか
って面白い図だと思います。 シリンダー、ブレーキキャリパーやスプリングの装着
状態も見て取れます。
↑テンダーの台車の様子。リーフスプリングやフレーム、ブレーキの取り付け状態
など、実車に即した構成で作られているので、高級特製蒸気機関車完成模型にも
負けない雰囲気を持っていると思います。 この部分の組み立てには、梅小路を訪
れた際、ウマに上がってメンテナンス中だったC61の外された台車を撮影した画像
が役に立ちました。
**おまけ画像**
↑一般的な鉄道模型Nゲージ(KATO製C50)との大きさ比較です。苦労するキット
ですが、この大きさの差で価格はアリイC62の方が\1000程度安価(塗料代除く)です
ので、汽車好きのインテリアとしてはお買い得かもしれません。(笑)
**総括**
とにかく手がかかるキットでした。完成した雰囲気からはなかなかそういった雰囲気
が伝わらないかもしれませんが、苦労しただけに思い入れのある完成品になりました。
特に、塗装に関しては今回初めて挑戦した再現もあり、その結果が梅小路で見た
実車に比較的近いものになった点は満足です。
難点は、画像には映っていませんがボイラーハンドルの表現とナンバープレートの
出来が今ひとつとあって、その他の雰囲気が実車のイメージを捕らえているだけに
少し残念が気がします。
最初にこのキットを組み始めた時は、同シリーズの他の機関車も製作していくつか
並べてみたいとおもったものですが、終わった頃には精神力を使い果たしてしまった
ので、今後はしばらく機関車モデルに手を出すことはなくなりそうです。(笑)
とはいえ、ネットにこうした蒸気機関車プラモデル(鉄道プラモデル含め)の製作レポ
などはほとんど見ることはなかったので、これから機関車を作ってみたい方に参考に
して頂ければ幸いです。
メーカー特製品の蒸気機関車モデルと比べると、省略された部分や間違った形状に
仕上げられている部分もあるはずですが、HIGH-GEARedレベルの初心者(笑)から
見る分には、完成した姿は充分魅力的ですので、SLファンの方はぜひコストパフォー
マンスと難易度の高いこのキットに挑戦してみてください。
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