2006年 12月2日 餘部橋梁への日帰り小旅行







皆さんは餘部橋梁(余部鉄橋)をご存知でしょうか?

山陰海岸のシンボル、餘部橋梁は高さ41、45メートル、長さ310、59メートルを誇る
トレッスル橋で、明治45年の完成時には「東洋一」と謳われました。

鉄道ファン以外にも、山陰地方を訪れる観光客にも人気のある橋で、気候や天候
によって様々な姿を見せてくれる名所と呼ばれています。

この餘部橋梁は、2010年までの完成を目指して架け替え工事が行われており、
HIGH-GEARedも機会があれば訪れてみたいと以前から思っていたものですが、
2006年12月、遂にその機会が来ましたので簡単にレポートとして紹介させて
頂きます。




餘部橋梁は、HIGH-GEARed在住の奈良県と同じ、近畿地方の兵
庫県に存在するのですが、日本海側にあるため、内陸部の奈良か
らは相当な距離があります。近くに高速道路なども通じていないた
め、鉄道の旅になるわけですが、お昼頃の到着を目指すとなると、
出かける時間もそれなりに早い時間帯となりました。
(前回の東京&横浜の旅の際には故障していたタグホイヤーは、
このようにスッカリ新品同様に修復されました) 



切符は前日にJTBに買い付けに行きました。特急を二回乗り継ぐ関係で、た
くさんの切符が写ってますが、実はこれで全部ではないのです。さらに奈良
市内から京都駅までの近鉄線の切符が加わるため、往復合計10枚という大
変な枚数になりました。なお、今回はやってないのですが、近鉄線も特急に
乗ったとしたら更に往復2枚の切符が加わり、合計12枚もの切符が必要にな
るところでした。



今回の旅のきっかけとなったのは、このダンボール箱です。今回は、これを
餘部の隣駅の久谷に住む方にお届けすることが、本来の目的でした。
『このダンボール箱の中身は何?』って質問ですか?中身はこれです。(笑)
輸送の際には中身が壊れないよう、扱いの丁寧さが求められました。



奈良市内から京都駅までは近鉄京都線での移動になります。奈良
〜京都間はJRより近鉄が列車の本数も多く、時間も早いので断然
おすすめです。HIGH-GEARedが高校生だった頃、高校の場所が
近鉄よりJRの駅に近い関係でJRを使用していたのですが、単線2両
編成、しかもエアコンすら稼動していないという状況で、随分苦労
させられました。(現在では多少改善されています) これは京都
まで乗車していった近鉄のラッピング電車です。



車内の様子。座席はオールロングシートで、座面に人ひとり分ずつの区画分けが
行われています。近鉄には他に、混雑時にクロスシートを折り畳んでロングシート
化できる珍しい車両も存在します。



休日の朝の京都はさすがに観光客でごったがえしていました。



今回乗車する山陰特急は31番線に到着予定です。その隣には、全国的にも
大変珍しい「0番線」が存在します。



今回、京都駅から乗車するのは、この『特急はしだて』です。日本三景の天橋立
をイメージした名前ですが、艦船ファンには某巡洋艦の姿が頭に浮かぶことで
しょう(笑)。橋立の他に、松島、厳島という当時の日本を代表する巡洋艦が連合
艦隊の主力を構成していました。



「特急はしだて」のサボ。北近畿タンゴ鉄道を経由する特急です。(タンゴって
カタカナの表記が良いですね) 「はしだて」の車両には直流電化区間専用の
直流特急型電車183系が使用されているのですが、西日本の183系は、実は
生まれながらの183系ではなく、もともと直流、交流電化区間を相互に行き来
できる交直両用電車485系、489系を改造し、直流専用車としたものです。



折り畳まれたパンタグラフ。交直両用電車を直流電車に改造したため、485系
の屋根周りから交流機器類を撤去した跡があるのがこの車両の特徴です。



中間車を改造した先頭車。JR西日本お得意の、旧国鉄車両更新工事車の例
のひとつです。 



車内の様子。HIGH-GEARedが乗車した車両は、上記の中間車改造型の先頭
車両でした。座席は中央通路より一段上がったところに置かれており、良好な
視界を確保しています。左側の網棚には、例のダンボール箱が置かれています
ね。(笑)



発車してほどなくしたら、梅小路運転区が見えました。分かりにくいですが、
蒸気機関車C62 2も見えます。



もう一両、SLを確認できました。この時点は随分天気が良く、これからの旅も
安心と思ってました。



しかしここで大変な濃霧に遭遇!飛行機の機内のような光景となり、この影響で
5分程度到着が遅れることになりました。



しかし、霧が晴れたあとにはまた快晴の空となりました。日本海側は荒れると天気
予報で聞いていたのですが、何だか不思議な天候です。



そして特急の乗り換え駅である福知山駅に到着。



連絡列車が待ってくれていて安心しました。これは「特急北近畿」で、車両は「はし
だて」と同じ485系改造の183系です。旧国鉄特急色に見えますが、良く見ると
窓下に赤いラインが一本追加されたオリジナル塗色の車両です。



行き先は「城崎温泉駅」。この駅は最近まで「城崎」という駅名だったそうで、地元
の方からの要望で「温泉」を付け加えることになったそうです。(そのほうがアピー
ル度が高いですからね)



車内の様子。「はしだて」用の183系と違い、通路より座席を一段上げる工事は
行われていないようでした。 現在でも山陰方面への移動手段は在来線特急
がメインのようで、指定席は満席状態でした。



終点、城崎温泉駅に到着すると、ここからは非電化区間になります。久谷駅に
は普通列車しか停車しないため、ここからはこの気動車に乗り込みました。
京都駅近辺の濃霧の影響で、北近畿にも遅れが出ていたのですが、この列車
が連絡待ちをしてくれていて助かりました。(普通列車の本数が二時間に一本
ペースの所ですので、乗り遅れると大変なことになるところでした) 

この頃には、もう随分と空が暗くなってきました。天気予報では、日本海側は
大荒れの恐れもあるということで、いよいよ荒れてくるのかな?という予感が
起こり始めました。



車内の様子。この車両も西日本お得意の旧国鉄車両の更新車です。シートは
中央部に四人ボックスシート、そして扉付近に優先席を含むロングシートが配置
されています。編成は二両編成で、ワンマン運転されています。 



運賃表の様子。二両編成のこの車両は、無人駅においてはドアは先頭車の
前側のドアしか開かず、バスのように運転士の確認の上で運賃を精算しなく
てはいけません。



運賃は、運賃表でお確かめの上、こちらの運賃箱にお入れ下さい。



城崎温泉から久谷までは単線区間を8駅通過します。鎧駅から餘部駅の区間に
かけては、車内アナウンスがあるわけでもないのに、突然たくさんの人たちがカメ
ラを持って窓に張りついてくる様子が見れました。いよいよ、餘部橋梁が近いこと
を伺わせます



カメラを持っていない人は携帯の準備も抜かりありません。(笑) 橋の直前には
長いトンネルを通過していきます。



いよいよ橋にさしかかりました。日本海側の真下を撮影してみましたが、自分が
列車に乗っていると、橋の様子は見えないため、この時点ではまだ全貌は良く
分かりませんでした。(笑) >遂に雨が降り出しましたね。



餘部橋梁を越えると、餘部駅、そして次の駅が久谷駅です。荷物をお渡しする
方は、すでにホームに訪れて待っていてくださいました。 駅の近辺は実にのん
びりした場所で、朝、車を駅前に置いて通勤することもだそうです。



その後、車でお宅までご案内いただいたのですが、この頃より随分天候が荒れて
きました。画像からもその雰囲気が伝わると思います。



荷物は破損なく無事に届けられました。お宅には、荷物をお渡しした方が子供
の頃に作ったというプラモデルがたくさん展示されていました。中でも目玉と言
えるのが、この1/100日本丸です。



前回の東京&横浜の旅の際に、日本丸の実船を訪れ、「アオシマの1/100」
日本丸が作りたい!と繰り返しレポートに書いていたのですが、このキットは、
現在アオシマから再販されているイマイ製のもので、大変丁寧に作られてい
ました。



自分で製作するときに向けての参考にと、隅々まで撮影させて頂きました。キット
を素組しただけというお話でしたが、1/100ともなると、手摺やその他の艤装品も
細かく作られているものだなぁと感心しながら見せて頂きました。



こうしてみていると、実船を訪れた時を思い出します。舷側には横方向の鋼板の
継ぎ目も再現されていました。自分が作るときには、模型映え重視程度のレベル
で縦方向の継ぎ目も追加してみたいと思います。 なかなか完成例に出会える
キットではないので、今回の旅のもうひとつの良い機会となりました。 お宅には、
日本丸のほかにも、現在あまり見る機会の少ない1970年代の1/12F-1や、
飛行機、そして1/200戦艦大和など、いろいろな作例を見せて頂き、模型の話題
で盛り上がりつつ、楽しい時間を過ごすことができました。



いろいろなプラモデルを見せて頂いた後は、いよいよ餘部橋梁に案内していた
だくことになりました。いよいよ餘部橋梁が近づいてきた様子を車内から撮影した
のですが、この時の天候は雨あられといった様子で、横浜旅行初日に引き続い
て、雨男ならぬ、大荒れ男ぶりをいよいよ発揮してきたかという思いすら沸いて
来る次第です。



麓まで来ると、少しは天候は落ち着いてきました。しかし風は相当に強いです。



橋の真下には駐車スペースがあるので、そこに車を止め、下から橋を撮影しま
した。このような悪天候にも関わらず、駐車場は満車状態で、餘部橋梁の人気
の高さを伺うことができます。 こうして下から橋を見上げると、その長さ、高さに
圧倒され、明治時代に良くこんなに雄大な橋を建造したものだと驚かされるば
かりです。



反対側の様子。山と山を結ぶ形で架けられており、高さがあるので下からみると
橋げたが相当に細く見えます。



この餘部橋梁では、1986年12月28日に回送中のお座敷列車が日本海からの
突風に煽られて転落し、乗務員と直下にあった水産工場の従業員を含む6名の
方が死亡、6名の方が重傷を負うという大事故がありました。 そのため、現在
では慰霊碑が建立されているのですが、地元の方にとって複雑なのは、現在の
全国的な認知度の高さは、その事故の影響もあったように思えるところだそうです。



餘部駅は、餘部橋梁と隣り合ったところにあるのですが、山の上になりますので、
駅に行くには山登りをする必要があります。今回は橋を上から撮影すべく、山登
りに挑戦しました。



山の中腹から餘部橋梁を眺めた様子。なんとも雄大な景色です。



丁度山登りを終えたところで、タイミングよく列車がやって来ました。列車が橋を
渡る音も独特のもので、背後に見える日本海や、近隣の山々と一体になった趣
さえ感じさせてくれます。



列車が通り過ぎると、そこはもう餘部駅のホームです。この列車の反対側の先
頭車は、中間車を改造したもののようでした。(一枚上の画像の先頭車と比較
するとカクカクしてますね)



ホームから餘部橋梁を見た様子。下からみると細く見える橋も、こうしてみると
結構横幅があることが分かります。



背景には日本海。「いかにも日本海的な波」になっています。(笑)



駅のホームには、餘部橋梁を撮影するための展望台が作られていました。この
展望台は、国鉄職員の方々が作られたと お聞きしました。



展望台に登ると、今度は「特急はまかぜ」がやってきました。今回のベストショット
です。 この餘部橋梁は、コンクリート製の橋に架け替える工事が予定されている
のですが、コンクリート製の橋が観光資源になりうるのか?という議論は現在でも
あるそうで、この橋を残す運動も行われているそうです。 とはいえ、現状では
列車のスピードも落とさなくてはいけなく、また最近は全国的に突風の被害が
多発していることもあるので、苦労が多いことでしょう。



駅には餘部橋梁について紹介したプレートがありました。工事には危険が伴う
ため、当時としては巨額の2万円の保険がかけられたそうです。



餘部には当初、駅は存在しなかったのですが、地元の人々の尽力もあって、
餘部駅が設けられることになりました。このホームの壁画は、駅の建造に協力
する子供達を描いたものです。



他には、近隣の観光案内もあり、この規模の駅としては考えられない扱いがなさ
れていました。 それだけ、餘部橋梁が地元の観光資源として重要視されている
ということでしょう。



餘部橋梁を満喫したあとは、麓の喫茶店で寛ぎました。餘部橋梁が一望できる
バツグンの立地条件です。



喫茶店の窓から撮影。次に来る時は、新しい橋に変わっているのでしょうか?


帰りはそのまま餘部駅から帰路につく予定だったのですが、なんと落雷によって
鉄道の信号機が故障し、運転を見合わせているというアナウンスがあり、急いで
車で豊岡駅まで送って頂くことになりました。



時間的にはギリギリのタイミングでしたが、なんとか「北近畿」に間に合い、安心し
ました。帰りにはいろいろとお土産も持たせて頂き、本当にありがたい歓迎振りでした。 

当日ご案内頂いた方には、この場で改めて御礼申し上げます。



帰りも「北近畿」「はしだて」を乗り継ぐ旅ですが、帰りは「はしだて」も「北近畿」と
同じ車両で、豊岡到着時には少々遅れがあったものの、京都駅到着までには遅
れも取り戻し、比較的安定した帰路になりました。



京都駅からは近鉄です。帰宅は22時を過ぎた頃でした。 行き、帰りとも、鉄道の
遅れ、天気の大荒れなどはありましたが、いろいろなことを体験できて楽しい旅
になりました。 

餘部橋梁は以前から訪れてみたいスポットではありましたが、それだけにために
旅をする力は沸いてなかったため、今回の荷物の引渡しは非常にいい機会に
なりました。

実際に目の前でみる餘部橋梁は、想像していた以上に雄大で自然に溶け込んだ
素晴らしい所でした。橋は新しいものに架け替えられてしまうのかもしれませんが、
また訪れてみたいです。


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