1/200スケール 駆逐艦 秋月
Nichimo製インジェクションキット













ニチモ 1/200

乙型駆逐艦秋月は、1942年舞鶴海軍工廠で建造され、主に艦隊の防空護衛
任務につく目的で設計されました。この秋月型駆逐艦の主砲には九八式10
サンチ連装高角砲が装備され、新開発の九四式高射指揮装置により、前部
と後部の高角砲をそれぞれ別々に制御できるようにし、軍部の要求以上の
性能を発揮して春の公試運転の際には日本駆逐艦のひとつの完成形と非常
に高い評価を得ました。

その後、同年6月より戦列に入り、フィリピン沖海戦の際には来週する敵
機13機を撃墜し、米軍においても作戦行動中、秋月型駆逐艦には不用意に
近づくなという警報が発せられたと言います。

しかしその後、数々の作戦に参加し、何度も窮地を乗り越えた秋月は、
1944年10月25日護衛任務のさなか、米潜水艦「ハリバット」の雷撃を受け
8時55分に沈没しました。空母「瑞鳳」に向かう魚雷を身代わりとなって
被雷したという説は連合艦隊史上、あまりに有名な一説です。



今回の作品は、この駆逐艦秋月の1/200スケールのモデルです。上の写真で
も分かるように、船底を取り外すことによって洋上モデルとしての展示も可
能な非常に珍しいものです。

ベースに使用したキットはNichimo(ニチモ、日本模型)の1/200駆逐艦シリ
ーズのインジェクションキット『防空駆逐艦(展示模型版)』です。

Nichimoの1/200と言えば戦艦大和があまりにも有名ですが、この駆逐艦シリ
ーズは板状のパーツを組み合わせて作る構造物や艦橋などのパーツ構成が
しっかりしており、駆逐艦特有の構造物の側面の彫刻表現も非常に精密に
再現された、大和をはるかに凌ぐ精密キットです。

今回は、このキットを使用し、自作パーツ、社外パーツなどをふんだんに
使ったディティールアップを施し、金属パーツのブルーイング仕上げなど
新しい見せ方にも挑戦してみました。



船体はバリやパーティングラインを消したあと、舷窓や構造物の丸窓をピ
ンバイスで開口してモールドのメリハリを強調しています。

艦橋の窓も同じくプラのモールドを切りぬいて開口し、真鍮線を使って開口
した後に、自作の伝声管をセット、リールには全て糸を巻きました。

使用したディティールアップパーツは船首のアンカーチェーンはアイコムの
ホビーチェーン、手摺がKONISHI METALLIC MODELのエッチングパーツ、機銃
やタラップもKONISHIの精密真鍮パーツで喫水線のデカールもKONISHI製です。

空中線はフラグシップの模型用精密テグスを使用して再現しました。


塗装は舞鶴海軍工廠出身の秋月に合わせてGSIクレオス艦艇色セットのsc03
舞鶴海軍工廠色ですが、塗色に重みをだす工夫として、工廠色の下に艦底色
を塗装しました。これで錆止塗料の下地を再現しているので、光があたった
ときの趣が、下地なしや、白立ち上げとは少々違った雰囲気になったと思い
ます。また、艦底色の下地にはホワイトサーフェーサーの下地も作っている
ので、艦底色の発色も問題ありません。



リノリウム甲板は、ピットロード艦船カラーのリノリウム専用色を使用しま
した。よって船体と甲板は船体はほぼ考証どおりの色加減になっています。

船底はGSIクレオスの艦艇色で、最期につや消しクリアーコートを施してデカ
ールや塗膜の保護をすると同時に、落ちついた質感に統一しました。以上は
もちろんすべてエアブラシによる吹き付け重ね塗り塗装です。

その他、吸排気口の細かい塗り分け、浮き輪などは筆塗り塗装で、カッター
ボートや内火艇などの塗り分けは資料にしたがって細かく行っています。

また、連装機銃は塗装ではなく、ガンブラックによるブルーイング仕上げで
す。KONISHIのディティールアップ用連装機銃は真鍮製ですので、モデルガン
や帆船模型の大砲、またはメタルアクセサリーに使用される方法で、黒染め
液で仕上げてみました。これで実物の機銃と同じ方法で、同じ質感のものに
仕上がったと思います。

細かいディティールは以下の通りです。


砲身はピンバイスで砲口を開口し、上下左右に可動します


糸を巻いたリール


タラップは社外品で踏み板の滑り止めもモールドされています。


防空指揮所の双眼鏡、艦橋の様子、艦橋内部には海図台もあります。


船尾の雷装の様子。投射機に爆雷がセットされています。


機銃座と真鍮黒染仕上げの機銃の様子


カッターや内火艇の塗り分けの様子。


空中線の様子。


船首の錨鎖(アンカーチェーン)は実物の精密チェーンを使ってディティールアップしました。


艦橋後のデッキとマストと空中線の様子。


防空指揮所は双眼鏡や伝声管など、駆逐艦の頭脳にあたる場所の設備を再現しています。


出入り口なども再現された魚雷発射管。



**総括**

Nichinmoの1/200は大和にはじまり3作目です(1/200大和は合計3隻製作し
たので正式には5作)。陽炎に引き続いてNichimoの隠れた名シリーズの駆
逐艦ですが、年式が古いためか、ランナーサイドの荒れがひどく、ちょう
ど接着面にあたる部分の修正が必要で、構造物など、せっかく面と面を合
わせて細かい彫刻を施しているにも関わらず、それらが隙間なくおさまっ
てくれないのでしっかりと強度をもたせた接着をするのに苦労しました。

それとキット自体の彫刻表現は陽炎と同じく素晴らしいものがあるのです
が、陽炎との最大のちがいとして良くない意味で非常に目だったのが、組
みたて説明書のミスプリントの多さです。この場合のミスプリントは部品
番号の間違いのことを刺すのですが、この秋月の場合は少なくみつくろっ
ても20箇所以上はあったと思います。

せっかくのキットのモールドの細かさ、考証のたしかさがこのミスプリン
トによって台無しになっている感がありました。模型をまだ作りなれてな
い少年モデラーなどは説明書の指定と違う形の部品がランナーにあると
嫌気がさしてくるのではないでしょうか?

根気良く丁寧に作れば素晴らしい出来になるキットだけに、少々残念に思
うところも多いキットでした。





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