1/700スケール 航空母艦 赤城 
HASEGAWA製 インジェクションキット 真珠湾攻撃 第一次攻撃隊 フル編成













ハセガワ インジェクションキット1/700

HIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!の1/700洋上艦船模型のギャラリーは、2009年
からはここ2〜3年の間にリリースされたリニューアルキットをメインに製作
してきたのですが、蒼龍→扶桑→赤城(三段甲板)→山城と続いての今回は、
WLシリーズの日本海軍主力艦の中で屈指の旧型キットでもある全通甲板の赤城
です。

このキットの発売時期は1972年ということで、1977年生まれのHIGH-GEARedより
5年も年上の超ベテランキットです。

このキットは組みやすさと全体のシルエットは現在の目で見ても素晴らしいも
のがあるのですが、ここしばらく2000年代リリースのリニューアルキットばか
り仕上げてきた目で見ると、素組みしただけでは細部に難があるのは否めません。

そこで、今回はこのキットの欠点を克服し、リニューアルキットに負けない
ディディールを持たせるため、最新パーツを投入すると同時に船体の一部
にも何箇所か改修を入れ、機動部隊旗艦として、1/700でのコレクションに
相応しい仕上げを目指しました。

また、艦載機は別売りの艦載機セットを3箱使用し、真珠湾攻撃第一次攻撃隊
の水平爆撃隊の97式艦上攻撃機15機および、雷撃隊の97式艦上攻撃機12機と、
制空攻撃隊の零式艦上戦闘機を9機の合計36機の発艦態勢を再現しました。

船体のディティールアップと艦載機の追加を行った結果、仕上がりは過去の
1/700赤城作例では最高のものになりましたが、材料費は蒼龍、飛龍の2倍、
  手間は3倍くらいかかりました(苦笑)


そんな赤城のディティールアップに使用したパーツは下記のとおりです


***使用ディティールアップパーツ一覧***

ハセガワ 72047 航空母艦 赤城 三段甲板ディティールアップパーツ
ハセガワ 72061 空母用人員救助網セット
WLシリーズ 31533 航空母艦甲板 ディティールアップシート 赤城
ゴールドメダルPE14「1/700 日本海軍 空母用」
ゴールドメダルPE18プロペラ/脚パーツ
ジョーワールド JPE16r  IJN 9mカッター
ファインモールド WA5 汎用探照灯セット
ファインモールド WA1 九六式25mm三連装/連装機銃 ×2セット
フジミ 111995 日本海軍艦艇用 武装セット
シールズモデル日英海軍艦艇装備セット
1/700 日本航空母艦搭載機・前期セット ×3セット
タミヤ 89673 海面プレート A
タミヤ ITEM73017 ディスプレイケースM(木製台座)
フラグシップ製精密チェーン

がメインです。

あと、自作箇所は以下の通りです。


***自作箇所一覧***

舷側鋼板継ぎ目モールドを自作
船首ムアリングパイプ開口
舷外消磁電路自作(0.4ミリプラ板)
機銃スポンソン支柱 純正モールド切除の上、プラ棒材で自作
高角砲射界制限枠自作(0.3ミリ真鍮線)
煙突ファンネルキャップ自作(プラ角棒)
前後部飛行甲板支柱に筋交い(後部)および補助支柱(全部)追加
空中線支柱および旗竿自作(各種真鍮線)
船尾錨追加
船尾錨鎖追加
艦橋防空指揮所形状変更(テーパー形状修正および探照灯台座自作)
リノリウム甲板抑え金具追加(0.2ミリ真鍮線)
着艦指導灯 青灯、赤灯追加
舷灯追加(プラ板)
信号旗追加
菊花紋章を薄く成型
海面航行波自作


艦上機は真珠湾攻撃第一次攻撃隊の水平爆撃隊の97式艦上攻撃機15機および、
雷撃隊の97式艦上攻撃機12機と、制空攻撃隊の零式艦上戦闘機の9機の合計
36機を再現、艦攻の一番機は真珠湾攻撃隊総指揮官 淵田美津雄中佐搭乗の
尾翼の赤い機体としました。


↑ハセガワ1/700赤城 全景

**実艦について**

赤城は当初、日露戦争時代の艦をすべて作りなおす八八艦隊整備計画の一
環として天城型巡洋戦艦4隻のうちの1隻としての建造が進められていたのです
が、ワシントン軍縮条約により、日本海軍の戦艦保有数に制限がかけられ、空
母に改装され、日本海軍では初の空母、鳳翔に次ぐ二隻目の本格的航空母
艦として完成しました。

空母として完成した直後は世界でも他に類を見ない発艦、着艦が同時に行え
るように工夫された三段甲板式航空母艦で兵装も、機銃、高角砲以外に、20
cm砲10門と中型巡洋艦並みの攻撃力を持った珍しいものでした。

しかし、この三段空母は航空機の性能が上がるにつれ、より長い飛行甲板を使
用する必要があるため後に廃止され、長さ250m、幅30mの広大な一枚甲板に変
更する大改装が行われました。改装の後は第一航空艦隊の旗艦に就役し、南
雲忠一提督指揮のもとに、真珠湾奇襲作戦で大勝利をおさめ、世界最強の
空母、機動部隊と世界にその名を知らしめました。

しかし、ミッドウェー海戦において甲板上で兵装転換のさなか、米エンタープラ
イズ機の攻撃により、2発の爆弾が命中。発進準備中の航空機やその爆弾へ
の誘爆をおこして大火災に見まわれ第4駆逐艦隊の魚雷により沈没処分されました。


今回の作品は、以前に製作した三段甲板式航空母艦から改装を施し、全通甲板
となった時代の赤城の姿で、赤城の生涯において最大の戦果をあげた真珠湾攻撃
第一次攻撃隊発艦の様子を再現しました。


***各部のディティール*


↑1/700空母赤城完成品 右舷から1 舷灯および煙突のファンネルキャップはプラ角棒に
て自作しました



↑1/700空母赤城完成品 右舷から2 高角砲射界制限枠および後部甲板支柱の筋交いは真
鍮線による自作です



↑1/700空母赤城完成品 左舷から1 舷外消磁電路もプラ板による自作です。遮風作は立
てた状態としました



↑1/700空母赤城完成品 左舷から2 機銃スポンソンの支柱は純正モールドを切除してプ
ラ棒で作り直しました。



↑1/700空母赤城完成品 右舷上空から 艦載機の配置などの様子もご覧いただけます



↑自作した機銃スポンソン支柱の様子。機銃本体はファインモールド製ナノドレッドシリー
ズの25mm連装機銃です。


↑製作前の様子。機銃スポンソンはもともとはこのような三角板でモールドされていました。



↑支柱は切削の上、プラ棒に置き換えました。その他、追加した鋼板継ぎ目モールドや舷外
消磁電路の様子もご覧いただけます。



↑艦橋も一部修正しました。白い部分がプラ板で自作した部分です。型抜きの関係か?キッ
トのパーツは居住区周りが正面から見て台形となるので、ヤスリで垂直に整えました、窓枠
とループアンテナもエッチングに置き換えました。



↑完成した艦橋には真珠湾攻撃時をイメージしてマントレットを取り付けました。飛行甲板
上に待機する零戦の様子とオールが置かれたカッターの様子もご覧いただけます。



↑船首付近右舷側より。前部の支柱には真鍮線で補助支柱を自作して取り付け、支柱内側
にはラッタルをエッチングで再現しました。木甲板はウォーターラインシリーズのディテ
ィールアップシートを使用し、キットで省略されている板目モールドをスジ掘り状に再現しました。



↑後部リノリウム甲板部分には真鍮線で抑え金具を再現しました。また、短艇の搭載数は
1/350赤城を参考に修正を加えました。



↑ずらりと整列した27機の97式艦上攻撃機。一番機は尾翼を赤く塗装し、淵田隊長機をイメ
ージしました。機銃スポンソンの外側には自作した着艦指導灯も確認できます。



↑右舷より艦橋付近を臨んだ様子。今回は汚し塗装を強めにしました。



↑今回、ケースはタミヤのディスプレイケースMを使用しました。定価\6600と、このサイズの
ケースにしては比較的高価なものですが、成型モノのクリアケースではなく、透明感に優れ
るアクリル加工品のケースと、重量感のあるMDF製の塗装済み台座が付き、高級感のある仕上
がりです。サイズは長さ430mm、奥行115mm、高さ135mm(各外寸)

海面ジオラマはタミヤの情景海面プレートAに航行波を自作し、リキテックスで着色したもの
です。 プレートは船体とケースにボルトで共締めしてあるので、ボルトを外せば取り外し
可能です。


**塗装について**

タッチアップ部分を除いて、塗装はほぼ全てエアブラシ塗装です。 

サーフェーサーで下地を整えた後、船体外舷色はGSIクレオス艦艇色セットの「SC02佐世保
海軍工廠標準色」を塗装し、考証に基づいた塗色を再現しました。


リノリウム塗装は同じくGSIクレオス艦艇色セットの「SC06リノリウム色」を使用しています。


汚し塗装は主にエナメル塗料によるウォッシングとドライブラシ、ウェザリングマスター
の筆塗りと擦り付けによるものです。 その後、オリーブドラブをベースにブラックを追加
して調色した色を全体に吹き付け、最後に艶消しクリアーで表面を保護すると同時に質感を
整えました。


**総括**

空母赤城はHIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!でも特に製作数が多く1/700で7作、1/500で9作と、
合計16回目、今回で17作目になりますが、今回の作品はこれまででもっとも手間と材料費
をかけました。(1/700の材料費で\25000を超えたのは久しぶりです)

このところリニューアルキットの製作が続いていたこともあり、このキットをなんとか
現在の水準に引き上げるべく努力を重ねました。

ハセガワの1/700赤城はバランスのいい造型で少し離れて見る分には現在の目で見ても
恥ずかしくない雰囲気はあるのですが、30cm以内に近づいて見ると、A社の飛龍、蒼龍等と
の差はいかんともしがたいものがあります。

また、現在では1/350赤城という素晴らしいお手本もあることから、物足りない部分が多
く出てくることは間違いありません。

1/700空母赤城の最大の欠点は、飛行甲板の板目モールドがないことと、機銃スポンソン
の支柱が三角板モールドで船体に一体成型されていることです。

今回は、この板目モールドについては新発売の「甲板ディティールアップシート」で再現し
スポンソン支柱は切除してプラ棒で作りかえることで解決しました。

また、防空指揮所の形状に問題がある艦橋も、主にプラ板工作で修正、リノリウム甲板に
抑え金具を追加するなど、現在の考証に合わせた各種修正を行い、舷側鋼板継ぎ目の追加
や機銃などを最新パーツにおきかえました。

ここまでやると、バランスのいい造型の赤城キットのこと、全体的に引き締まった精悍な
姿を見せてくれます。

古いキットでありつつも、細部の手直しでここまでの存在感を見せてくれる理由は、やはり
このキットが持つバランスの良さに尽きると思います。

ご存知の通り、ハセガワはこれまでこの1/700赤城を筆頭に1/700三段甲板、1/450、1/350と、
4作もの大物赤城キットを送り出してきており、同社の赤城に対する思い入れの深さがうか
がえるというものです。

そんな思い入れのこもったキットが満足に仕上がった時の喜びは、最新キットをそのまま
組み、精悍な完成度を得た時のものとはまた違った形容しがたい喜びがあるというものです。





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