1/35 日本陸軍 88式75mm野戦高射砲












ピットロード 1/35

2007年の初更新は、HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!では異例となるAFV関連のものとなりまし
た。しかも、AFVの出戻りに最も多いヨーロッパ戦線の戦車ではなく、比較的身近(?)な題材と
なった、日本陸軍の88式野戦高射砲です。

なぜ身近であるか?と言われれば、理由があります。HIGH-GEARedの祖父は父方、母方に二人いる
のですが、父方の祖父は陸軍で大陸で戦死しました。 母方の祖父は同じく陸軍出身なの
ですが、北にいたため、激戦に巻き込まれることはなく無事戦後を迎え、このレポートを記載し
ている2007年正月も毎日を元気に過ごしています。

この母方の祖父は、戦時中には陸軍の高射砲隊の小隊長を務めた経験があり、以前から軍隊生活や
砲術のお話を聞かせて頂くことが多く、それらの経験談は、戦史や当時の戦術に興味があるHIGH-
GEARedにとって、大変大きな知識となりました。

そして2006年の年末、いろいろなお話を聞かせてくださった祖父に、何かお返しをしようと思い
立ち、何かをするなら自分の得意ジャンルでもある模型の世界が一番と、2007年正月の一族の集い
に向け、祖父が加古川で演習を行っていた際に扱っていたという「陸軍88式75mm野戦高射砲」の
模型を製作し、プレゼントすることにしました。


**キットと組み立てについて**



↑88式高射砲は、プラモデル界ではキット化されていないので、ピットロードから限定リリー
スされている、グランドフォースシリーズのホワイトメタル製キットを組み立てる方法で、製
作することになりました。このキットは、このようなピットロードのガレージキット部門(?)
の定番とも言える、小さいダンボール箱のパッケージに収まっています。


↑これが箱を開け、部品の袋を並べた様子です。プラモデルの様にラ
ンナーが付いていないので、部品を図面と照合して組み立てる必要が
ありますが、ピットロードのメタルキットは非常に上質で、わずかな
修正を行うだけで、あとはプラモデルに近い感覚で組み立てることが
可能です。


↑塗装は比較的単調な指定でしたので、今回は先に全て
組み立ててから色を塗ることにしました。ホワイトメタ
ルは軟質性の金属ですので、直線が出ていないことが多
く、それらを修正してバランスを見ながら組み立てまし
た。接着は、ゼリー状の瞬間接着剤が中心で、負荷がか
かる部分にはエポキシ接着剤を使って補強しました。


↑素組とはいえ、艦船の感覚から考えれば、拍子抜け
するくらい簡単に完成しました。(笑) こうしてみると、
未塗装のメタル高射砲も良い物ですね。戦前によく作
られていた銀製の献上模型を思わせる雰囲気です。
ホワイトメタルのキットといえば、組み立て前にワイヤ
ーブラシをかけるのが定番ですが、このスケールの砲
単体だと、表面が荒れていたほうがかえって本物臭く
なるのでは?と思い、今回はバリとゲートの処理だけ
にとどめました。

塗装はピットロードの解説書の指定どおり、カーキ90%、レッドブラウン10%を調合したも
のをエアブラシ吹きしました。しかし、イメージより少し暗くなってしまった気がします。

汚し塗装や塗装剥がれの再現を試みようかと思ったのですが、なんせこの模型を献上する
相手は実物を扱っていた人ということで、かえって嘘っぽくしてしまってはいけない
と思い、軍需工場から出てきたばかりのピカピカ(半艶)の塗装としました。


**完成写真**


↑上部から見た全景。移動の際には5本の脚は、3本を1本にまとめ、残り
2本は上に持ち上げて移動していた気がする・・・という祖父の思い出
話が聞けました。ケースはWAVEのTケースですが、贈呈用の模型です
ので、もう少し高級感を出すべく、ホームセンターで購入した木目シ
ートを貼り付けました。銘板もゴールドラベルとプリンターを使用し
た自作のものです。


↑88式高射砲、斜め後方から。当時、高射砲は比較的新しい兵器だっ
たため、飛行機のない時代に出世した砲術のお偉い方には上手く扱う
事が出来ず、士官学校に通った若い世代の士官の方がアテにされて
いたそうです。 しかし飛行機の進化の凄まじさに、狙って撃つより
も弾幕を張る作戦に切り替えることになり、そうした新しい戦術の立
案に、当時陸軍少尉だった祖父も関わっていたそうです。


↑ケースに収めた図。なかなか上手く収まりました。模型を見ていると当時
を思い出すのか?祖父は当時のお話を嬉しそうにたくさん語ってくれました。
若い頃の事を思い出し、祖父にはこれからも末永く元気で過ごしてもらいた
いと思いました。




**総括**

今回は、祖父との縁もあってHIGH-GEARed HOBBY WORKS!!の開設以来初めてとなる、AFV
関連のキットの製作となりました。

HIGH-GEARedは幼少の頃、いろいろなジャンルのプラモデルを作ってきましたが、AFVも例外
ではなく、中学生の時にはタミヤのミリタリーミニチュアシリーズから、ドイツ、アメリカ
を中心にたくさんのキットを作りました。 戦車やハーフトラックも作りましたが、特に
好きなのは大砲で、ドイツ軍の37mm砲、75mm砲、88mm砲など、いろいろな大砲を作りました。

今回は初めて砲単体のメタルキットを組んだ訳ですが、さすが安心のピットロード製とあっ
て、組み立ても簡単で見ごたえのある高射砲が出来、大変満足しました。

艦船と比較すると、まだまだ経験不足のジャンルとあって、今後もなかなか素組の域を出る
ことはできませんが、またグランドフォースシリーズを含め、AFVに挑戦する機会があれば
と思います。


**追記 2007年6月4日**

この高射砲模型をプレゼントした祖父は、2007年5月29日に他界しました。幼い頃からHIGH-GEARed
をかわいがってくれた祖父の人生最後の年に この高射砲を手渡せた事は、祖父との晩年の付き合
いの中で、とても良い思い出となりました。 

その際には、貴重な経験談をたくさん聞かせていただくなど、素晴らしい機会を持つことができて
本当に意義の深い模型製作になったと、今改めて思います。

この場を借りて、偉大な人生を終えられた祖父に改めて感謝の気持ちを送ると共に、ご冥福を祈
らせて頂きます。





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