2005年、3月23日大相撲大阪場所11日目観戦記




『HIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!に相撲観戦記???』

昨年からレポートを始めた相撲観戦記ですが、今年もまた大阪場所の観戦に訪れたのでレポート
します。

大相撲の世界は格闘技としての魅力もさることながら、日本の様式美、伝統美に満ちた大変魅力
的な世界です。

今場所は去年の大阪場所と同じく、11日目の観戦となりました。中盤戦から後半戦となるこの時期
はそろそろ勝ち越し、負け越しが決まる力士、なかなか勝ち越せない力士、前半負けが込んでい
ても必死に踏ん張る力士などが徐々に増えだす時期で取り組み内容もより魅力的となります。

関西の相撲ファンには一年に一度の大阪場所ですが、この一年間に番付も随分更新されました。

中でも、この一年で成長の著しかった一部の力士の番付を参考として↓に掲載してみました。


安壮富士 幕下 → 十両3枚目

白露山 幕下 → 十両筆頭

石出 幕下 → 前頭17枚目

稀勢の里(萩原) 幕下 → 前頭15枚目 

露鵬 十両3枚目 →前頭6枚目

白鵬 十両8枚目 → 関脇

琴欧州 幕下 → 小結


幕下から十両への躍進も目立ちますが、何より恐ろしいのは幕下から一気に前頭へと躍進した
わずか18歳の稀勢の里(昨年の四股名は萩原)、十両から負け越しなしで関脇まで昇進した20歳
の白鵬、幕下時代には稀勢の里のライバルとして注目を集めたブルガリア出身の長身力士、琴欧
州に至っては、たったの一年で幕下から小結という役力士までのとんでもない飛躍です。

(昨年、まだ幕下力士だった琴欧州を注目力士としてレポートしていたこともあって鼻が高いです)

琴欧州と言いますと、昨年この大阪場所を身に来たときには、当時関脇だった若の里関の付け
人として、取組み前に若の里座布団を持って花道に向かう姿を見ていたのですが、今年はなんと
琴欧州が琴欧州関として役力士に名前をつらね、当の若の里関は長年勤めた三役から陥落し、
平幕力士としての場所となっています。 

一年前には関脇だった自分の座布団を運んでいた若者が、今では自分の番付を抜いてしまった
わけですから、いったい若の里関の心境というものはいかなるものなのでしょう?


もちろん番付は生き物であって、上る力士もいれば落ちる力士、引退する力士もいます。

昨年このレポートで紹介した武双山、貴ノ浪の両元人気大関はこの一年の間に引退をし、怪我や
年齢的な問題でで関取の座を追われた力士も何人かいます。 番付というのはこうしたたくさんの
力士のいろいろな人間模様を映すひとつの鏡と言えるかもしれません。




午前中からお昼にかけて




今回は午前中に入場して当日券の立ち見席をゲットしました。昨年のイス席の五千円台と比較して
今回は\1400という格安さです。



ゲートには今場所の注目力士の実物大の全身像が置かれてありました。幕内最長身力士の琴欧州
関(左)と最も背の低い豊ノ島の慎重差はご覧のような感じです。204cmの琴欧州と171cmの豊ノ島の
差はなんと33cm!!



土俵上では序二段の取組みが展開されていました。こうした午前中に取組みを重ねる力士の中に
未来の横綱が埋もれているかもしれません。この時間帯は客席はまばらですが通路やゲートにはか
なりのお客さんが集まっていました。



支度部屋前にて



大阪場所の特権といえば、通路をとおってお客さんも力士とおなじ道を通って支度部屋の前までいけ
ることです。そこで今回も西の支度部屋の前で関取と人気力士を待ち伏せる作戦をとりました。



写真は最初 に登場した個人的に注目している千代白鵬関です。幕の内では現在、モンゴル出身の白鵬関が活躍
中ですが、先に『白鵬』を四股名に用いたのは彼です。この日は奈良県出身で同じくHIGH-GEARed
が注目する大真鶴関との対戦が組まれました。しかもお互い負ければ負け越しという厳しい一番です。

応援している力士同士が負け越しをかけて戦うというのはファンとしてはなんとも複雑な気分ですね。(苦笑)
カメラに微笑みかけてくれる笑顔がまぶしいですが、この後彼に悲劇が襲うことはこの時は予想できま
せんでした。(涙)



こちらは幕内での華々しい活躍も記憶に新しい千代天山関・・・と言ってしまいそうになりますが、残念
ながら彼は現在幕下に番付を落とし、もう『関取』ではありません。(涙) 大銀杏を結っているのは、この
日十両の土俵に上っての取組みが組まれているためです。早く15日間の土俵に帰ってきてもらいたい
ものです。



支度部屋の前のベンチに腰掛けて関取の支度部屋入りをしばらく待っている際に、となりに腰掛けた
おばさんが「息子が今日は十両で取るんよ」としきりに話しているのが聞こえたので誰のことかと思ったら
兵庫県出身の幕下力士、福興山さんが部屋入りするときに呼び止めているのが見えました。阪神淡路
大震災からの復興を願ってつけられた四股名が有名な力士ですが、どうやら彼の母親だったようです。
「今日は小銀杏が・・・」という話題だったのですが、彼の髪の毛の量を見ると納得でしょうか?(爆)



ここ数年のモンゴル力士の活躍は目覚しいものがありますが、彼もその一人、時天空関です。幕内経
験もあり、足技が得意の技巧派力士ですが、幕内に定着するには立合いにまだまだ磨きが必要なよう
です。



幕下と三段目の間を行ったり来たりという番付の武蔵富士さんですが、武蔵丸横綱時代の弓取り式で
の印象が強く、みつけるとついついカメラを向けてしまいます。



こちらはエストニア出身で2メートルを越える巨漢力士、把瑠都(ばると)さんです。本名はカイド・ホー
ヴェルソン。 最近の外国出身力士の名前を見ると、カザフスタン出身の「風斧山(かざふざん)」トンガ
出身の「南の島」中国出身の「仲の国」さんのような語呂合わせ的なものが多く、いまいちセンスを感じ
ません。(苦笑) 早く出世してもっとかっこいい四股名をもらえる身分になれるように頑張ってもらいたいです。



幕内経験も豊富で現在十両で好調の和歌乃山関です。語呂合わせといえば、この人も和歌山県御
坊市出身から付けられた四股名で実に単純明快です。 取り口は頭を下げて下から相手を押し上げ、
相手に引かせるような体制を作って出て行くもので、その押し上げる表現はアナウンサーや解説者に
よって「もちゃもちゃ」とか「もこもこ」という具合に様々で楽しませてもらっています。



こちらは久しぶりに17歳で関取昇進、18歳で幕の内定着を果たした稀勢の里(きせのさと)関。昨年の
この大阪場所では萩原という四股名で まだ琴欧州関とともに幕下力士でした。まさに稀な勢いであが
ってきた期待の力士です。立合い変化や引く相撲をほとんど取ることなく、前へ前へでる相撲はなか
なか魅力的で、体格にも恵まれているので今後の活躍が大変楽しみです。 今場所は前へはよくでて
いるのですが、今ひとつ決め手に欠いているのか?あと少しのところで逆転を喰うことが多いみたいです。



怪我で一旦番付を下げつつも、すぐに幕の内に戻ってきた技巧派の安美錦関。小さい体を機用に
つかって巨漢を相手にしても冷静に取ります。金星や三賞の経験も豊富で、体さえ万全ならこの人に
も三役のチャンスが充分あるのではないかと考えています。 今場所は実兄の安壮富士関も十両上
位で活躍し、兄弟関取としても今後いっしょうの注目が集まることと期待しています。



片男波部屋の玉乃島関は実力、実績ともに充分ですが安定感を欠くのか?最近は少し印象に残り
にくいようです。しかし、今場所は比較的波に乗れているようで、早めに勝ち越しを決めました。場所
中に少し体が硬くなったようにもみえたのですが、早めにリカバリーを果たしたので今後は安定感を
身に付けて活躍してもらいたいです。



もみあげがトレードマークで相撲ファン以外でもご存知の片が多い闘牙(とうき)関です。最近はおな
じくもみあげがトレードマークでそっくりさん同士とも言われる隆の鶴関と近い番付のため、そっくりさん
同士の対戦も増えました。(相撲の取り口は対照的です) 闘牙関が所属する高砂部屋の高砂親方
の談では「自転車で部屋入りする姿がサーカス団のゴリラにそっくり」だそうです。その談に対する武
蔵丸親方の「そんなこと言ったらゴリラがかわいそうだよ」には笑わされました。(笑)



若手力士の中で期待の多きい普天王関。学生相撲で数々のタイトルをひっさげて角界いりし、幕下付
け出しデビューのあと、すぐに幕の内に定着しました。強さは誰もが認めるところですが、本場所では
少し硬くなってしまうところがあるらしく、「稽古場横綱」といわれることも多いのが少しもったいない気が
します。早く本場所横綱に相応しい実力を発揮してもらいたいです。



彼はあの寺尾を思わせる回転の早いつっぱりを得意とする豊桜関です。昨年派手な塩撒きを紹介した
北桜関の弟で兄弟関取です。引かずにどこまでも前にでていく相撲は大変魅力的で、十両上位の印
象が強かったのですが、昨年は一気に三賞力士にまで名を連ねました。押し相撲の力士は体調や勘
などで浮き沈みの激しいところがあるのですが、ノッてくると本当に強い力士なので、今後も注目して
みていきたいと思ってます。



ロシア出身の露鵬関は昨年はまだ十両力士でしたが、今場所は西の6枚目までじょじょに番付をあげ
てきました。力はとても強いのですが、以前はよく引く癖によって墓穴を掘るシーンを見かけることが
よくありました。しかし最近では引く相撲もかなり減り、持ち前の馬力を生かした相撲で多く見せてくれ
ます。今後三役候補に名を連ねていくことはほぼ間違いないと考えていいでしょう。 弟の白露山(
はくろざん)関も十両で活躍し、兄弟幕の内のもう目の前といったところです。



そしてこちらがその白露山関。兄弟ですがあまりにていません。(笑)「兄に追いつくだけではダメ、
追い抜かなければ意味がない」と力強いコメントを聞かせてくれます。兄弟といえどもいいライバル
関係をうまく築いているのでしょう。



昨年は東方の支度部屋に入ってしまったため、近づけなかったですが、今年は撮影できた高見盛
関です。 「タカミン」とか「カトちゃん」の相性で現在の相撲人気をある意味ひとりでしょってたつ存在
ともいえます。(笑) こういうお相撲さんは今後二度とでてこないでしょうね。 昨年も書きましたが、け
して仕切りや土俵内外でのユニークさだけではなく、力士として相撲内容を見ても魅力的な人です。
今場所では得意の右差しで寄り切るパターンよりも、相手の得意な体勢から腕力、背筋力にモノを言
わせて相手を腰を伸び上がらせて体を入れ替える相撲で器用な勝利を積み重ねました。 力の強さ
でも上位に充分通用する力士に成長してきました。



高見盛が出てくる前は笑いをとる役とも言われた朝乃若関。いろんな噂のある人ですが、最近は派手
なまわしや妙な仕切りはすっかり封印されました。今場所は十両中堅でここまで白星なし・・・いよいよ
その時がくるのかと館内のお客さんも心配気味でした。



あの辛口解説で有名な北の富士さんでさえ「間違っても横綱」と言わしめる白鵬関。まだ20歳の新関脇
はいつもこのように落ち着き払っています。昨年はまだ十両力士だったのですが、見違えるような貫禄
です。今場所は成績しだいでは一気に大関昇進とも言われましたが、残念ながら成績が振るわず、負
け越し一歩手前での奮闘の日々を送っていました。一時は誰が何をしても勝てないような強さと上手さ
とやわらかさを持ち、すぐにでも優勝するのではないかと思わせましたが、やはり大相撲の世界は甘く
ないものですね。その取り口や弱点も今場所は充分に研究され、思った相撲が取れていません。



こちらは実力、人気ともに文句なしの大関魁皇。昨年は横綱朝青龍を時に寄りきり、時に幕の内最高
優勝も果たし、いよいよ横綱かと期待させてくれましたが、ここで懸念されていた体調の悪化がでてし
まい、残念ながら綱とりはなりませんでした。これまで5回の優勝、横綱との五分の対戦成績をのこしつ
つ綱に届かなかったことは例がなく、我々大相撲ファンにとっては『心の横綱』として心に残っている
大関です。しかし諦めないで今後も綱を目指して奮闘してもらいたいです。体調さえ万全なら今頃は
とっくに朝青龍のむこうをはる横綱として豪腕を振るってるはずですから。



遅れて場所入りしたのは横綱朝青龍の弟弟子にあたり、同じモンゴル出身の朝赤龍関です。昨年の
大阪場所の11日目には11戦全勝で一気に朝青龍に並ぶ力になるかと思わせましたが、最近はあま
り目立った活躍がなく、長い相撲が多く見受けられます。特に現在十両で同じくモンゴル出身で相撲
が長いと言われる時天空関との対戦は十中八九3分を越えるような大相撲となるのが定番となってい
ます。少し決め手に欠くような場面が多いですね。



手前の十両力士は大真鶴関。HIGH-GEARedと同じ奈良出身の力士で唯一の関取です。重い腰で
前にでる相撲が力強く、幕下と十両の間をしばし行き来するような状態が続いていましたが、そうした
中で地道に力をつけ、いよいよ十両の定着も見えてきました。



相手は先ほど支度部屋前の笑顔を取材したばかりの千代白鵬関です。応援している力士どうしの
取組みというのは、ファンからみれば、なかなか複雑な心境といったところです。こうした取組みの
場合は、結果よりもいかに両者の攻防がみられる良い取組みになるかを注目したいです。



激しい攻防の末、大真鶴関が押し出して勝ち。激しく土俵下に落ちて行った千代白鵬関はすぐに
起き上がることができません。右足首を痛めたようで、全治1ヶ月の重傷でした。呼び出しさんと若い
者頭の肩を借りてなんとか担架に乗せられ、土俵を後にしました。 応援している力士が応援して
いる力士に怪我をさせてしまうというのも、ファンとしては複雑です。勝負の世界の厳しさを見ました。



写真は十両の上位争い、現在幕内上位で活躍する露鵬の弟の白露山関が、幕の内経験者で強
いつっぱりを持つ長身の五城楼関を送り出しでやぶった場面です。 白露山関にもいよいよ入幕
を目指すに相応しい力がついてきたように思われます。



十両最期の一番が終わると木の音が鳴り、西前頭17枚目の安見錦関を先頭に、西方の幕の内
力士の土俵入りがはじまりました。



急いで支度部屋の前に戻り、一人の力士を追いました。黒い浴衣を羽織っている力士は、HI
GH-GEARedが全力士の中で最も応援している大関栃東関です。モンゴル人力士をはじめとし
て、近年高度な技術を持つ外国人力士の中にあって、日本人では唯一守勢から攻勢に転じる
のを得意とする力士で、これといった欠点もなく、相手を良く見るおっつけで実に魅力的な取り
口を見せてくれます。また、人間的にも大変紳士的な人柄が知られ、強い張りを食らっても、
倒した力士に手を差し伸べる優しさがあります。 怪我による休場もありましたが、その怪我も
癒えぬ間に史上初めてとなる2度の大関復帰を果たすなど、その精神力も尊敬しています。



こちらは高砂部屋の幕下力士の皇牙さん。なんとなく大相撲を見ているだけという人の中にも
「あれ?どっかでみたような・・・」と思わる方が多いと思います。 実は横綱朝青龍の結びの一
番の後に弓取り式を行う力士が彼です。表情が明るいのは、この場所の彼の成績の良さもある
のでしょう。 この後巴戦で幕下の優勝争いにも参加し、視聴率の高い時間帯にもその相撲っ
ぷりを披露してくれました。(優勝決定戦2回戦まで進出)



前頭5枚目の北勝力関。強い押しを得意とし、昨年夏場所では平幕で初金星を獲得し、朝青
龍との千秋楽優勝決定戦に持ち込むほどの活躍を見せました。よく、相撲界では「押し相撲
力士が波にのると2倍の力がでる」と言われるそうですが、その時期の彼の押しはすさまじく、
本割りでは朝青龍を持ってもなすすべのない力を発揮しました。その後は連勝と連敗が連続
するような星ですが、またどこかできっかけをつかめば末恐ろしいくらいの力をまた見せてくれ
るのではないかと、期待しているひとりです。



人気の高見盛関。気合を入れる仕草が有名ですが、これはまさにその瞬間を激写したもの
です。(笑) 最近ではその取り口も相手によく研究されてしまっているのか?なかなか得意
の右差しを許してもらえません。そのため一気に土俵際に持っていかれることが多いのです
が、そこからすさまじい腕力と背筋力を使って相手を持ち上げるようにして体を入れ替え、逆
転する相撲が続いています。力もとても強いんですね。 

行司は長身の行司、式守与太夫。プレイステーション2の相撲のゲームでの行司ボイスを
彼が担当していることもあって、相撲ゲームのファンにもおなじみの声が響きます。ホーム
ページも持つIT派の行司さんです。



審判長席は「ウルフ」と呼ばれた元横綱千代の富士こと九重親方です。自らの間接に脱臼
癖があることを克服するため体を鍛え、筋肉の鎧を纏った個性ある横綱でした。彼が打ち
立てた数々の記録は未だにその多くが破られてはおらず、双葉山関以来の歴史に名を残
すひとりであることは言うまでもないでしょう。



この場所でついに3役を手にした琴欧州と昨年この場所で小結だった垣添との対戦。琴欧
州は大きい体が武器でもありますが、小さい相手にはまだ取りにくさがあるようで、この垣添
のように、中に入ってがむしゃらに押してくるような相手には多少苦戦しています。この取組み
でも垣添が突き倒しで琴欧州に勝ちました。せっかくつかんだ3役の地位ですが、琴欧州は
残念な負け越しです。



顔も体も岩のような岩木山関。当初プロの世界に入るつもりはなかったそうですが、親友を
事故で失ったことにより、「彼に喜んでもらいたい」と高校職員を辞め、大相撲の世界に入り
ました。その後は最優秀幕内新人賞を獲得、3役も経験するなど、まさにその親友も心から
喜んでいるであろう活躍を見せてくれています。 相撲は小細工なしの正攻法で鋭い出足
と重い腰で大変魅力があり、HIGH-GEARedも心から応援している力士のひとりです。この
場所は2回目の小結で残念ながら負け越しとなりましたが、この相撲では実力者の若の里
を押し出しで破るという力強さを見せてくれました。



いよいよ大関登場。気迫と供に激しいつっぱりを浴びせる喧嘩相撲の千代大海関と幕内
最重量力士の雅山関との取組みです。雅山関も重いつっぱりを武器とする力士とあって、
激しい押し合い、つっぱり合いが期待されました。



いざ立合い!と思いきや、180キロもある雅山の体はひらりと横にとび、勢い良く当たりに
行った千代大海はパッタリと前に倒れこみました。激しい押し合いを期待した客からは雅
山の注文相撲にため息が漏れました。HIGH-GEARedの前で見ていたお客さんが「あれ
では悔しくて飯も食えへんやろな・・・」と話していたのがなんとも印象的です。

(余談ですが、この次の夏場所において、千代大海は雅山に対して変化で突き落として
勝ちました。この時のおかえしとみるのが筋道でしょうか?笑)



放送席には毒舌の解説で知られる元横綱 北の富士勝昭さんが座られていました。同門
の千代大海には特に厳しいコメントを浴びせることでも知られていますが(それだけに期待
を持っているということも言えるのでしょう)、いったいどのような心境でこの取組みを見つめ
ていたのでしょう? 独特の語り口での解説が人気で、自分のこととなると極端なまでに
謙虚に話されるのが何となく面白いです。



そして大関栃東の登場です。けして慌てず、攻めどころはきっちり攻める相撲で落ち着
いた取り口は本当に魅力的です。苦手な相手に取りこぼしをするところなどは多少あり
ますが、それでも内容的に悪い取組みというのはほとんど見ません。逆を言えば、落ち着
いて慎重にとる分、慎重すぎることが敗因になることもあるようです。しかし、最近では相手
を良く見る我慢の相撲が更に上手くなったように思えるので、今後に大きく期待したいと
考えています。



この日の相手は栃の灘。下手を取ると力を発揮する力士とあって、その下手を封じつつ
横に付き、相手のバランスを崩して前にでる。この相撲も栃東の良い相撲がでて見事に
より切りました。 ここしばらくの栃東の動きは日ごとに良くなるようで、これからを随分期
待させてくれます。

(栃東はこの後13日目、巧みなおっつけと下がらない我慢の相撲で横綱朝青龍をも破りました)



大関三人目は魁皇関。30歳を大きく過ぎても力強さは全く失われないのですが、この
ところは怪我と体調不良に悩まされることが多いです。この取組みでも、黒海関の猛烈
な押しになすすべなく押し出されてしまいました。体調さえいつも万全なら、現在では
充分横綱になっていていいだけの力を持っているので、スピードの朝青龍と剛力の魁
皇という東西横綱対決が場所を盛り上げていたかもしれません。ファンにとっては心の
横綱といえる存在とおもいます。 ところで黒海は最近押しに行くこともあれば四つに
組に行くこともありますが、個人的には押しの相撲に徹した方が良いのではないか?
と考えています。



この場所では栃東に13日目に敗れるまでは、この黄金色の締め込みがトレードマーク
だった横綱朝青龍。この横綱の取り口を一言で表すなら「集中力の横綱」 というべき
でしょう。以前は少しずつ自分の得意な体勢を作っていく取り口に見えたのですが、
現在では鋭い踏み込みと早い攻めで、すぐに相手の得意技を封じ、大技を仕掛けます。



この日は粘りと勝負勘のよさで、次世代の横綱ともウワサされるモンゴルの後輩、白鵬
関が相手でした。初対戦の時には白鵬関が勝利したのですが、現在ではその攻め口
も上位力士達にしっかり研究しつくされ、大関を目指すことは難しい場所が続いてい
ます。この結びの一番でも、朝青龍に一気に踏み込まれ、ほとんど何もできないまま
俵を割る結果となりました。



弓取り式は高砂部屋の幕下力士、皇牙さんの役目です。今場所は成績も良く、美しい
弓さばきを披露してくれました。



大阪府立体育会館に掲げられた櫓。また来年も見に来ます。


■ PHOTO

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