1/200スケール 陽炎型駆逐艦
Nichimo製インジェクションキット













ニチモ 1/200

ニチモの陽炎型駆逐艦は以前に映画特撮模型を製作したこともあって縁の深い
キットなのですが、今回はその映画用模型以来の製作となりました。

今回はこれまで以上に細かいディティールに手を加え、リノリウム押さえ金具の自作
やハトメを使用したメリハリのある舷窓の再現など、新たな手法の実験的要素も含め
て製作のしがいのあるものになりました。

今回も時代的には昭和18年ごろの陽炎型駆逐艦を再現しました。艦名は特定して
いないので、陽炎型駆逐艦のどの艦種と考えるのも自由です。 

陽炎型駆逐艦の艦名は以下のとおりです。

陽炎、不知火、黒潮、親潮、早潮、夏潮、初風、雪風、天津風、時津風、浦風、
磯風、浜風、谷風、野分、嵐、萩風、舞風、秋雲

キットはニチモの1/200キットをベースに、船体舷側の鋼板継ぎ目モールドを手作
業にて追加再現、艦橋を開口して窓枠を自作し、艦橋内部を覗けるようにしました。

手摺は、エッチングパーツと柱にテグスを通すタイプ、それと今回新たに1段式の
手摺エッチングも使い分けて3種類の方法で場所に応じて再現し、精密真鍮パー
ツやエッチングパーツ使用にてタラップの追加、着色テグスによる空中線再現お
よび、スクリューの金属パーツ化などのディティールアップを施してあります。

また、飾り台はえんじゅ材の木製台座とブラス製の飾り足を使用して高級感を演出
しました。


***リノリウム甲板のおさえ金具の自作***

実艦の陽炎型駆逐艦はリノリウムと呼ばれる天然樹脂系の素材が使用されていた
のですが、この方式の甲板には真鍮製の押さえ金具が付いているのが特徴でした。

このリノリウム押さえはニチモのキットでは凸モールドで再現されているのですが、
よりメリハリを出すために真鍮線で一本一本自作して貼り付けました。


↑自作したリノリウム押さえ金具の様子。実物と同じ真鍮製です。


リノリウム押さえ金具。後部の様子です。

リノリウム面の塗装はGSIクレオスの艦船模型専用色『リノリウム』を使用し、押さえ
金具は真鍮製にて自作しましたので、実物のイメージにかなり近くなったのでは
ないか?と考えています。


***船体舷側の加工***

まず、船体ですが、バリとパーティングラインの目立つ船体をサンディングしたあと
軽くサフを吹いて形状を整え、鋼板継ぎ目の再現のために等間隔に切り出したマス
キングテープを貼り付けたあとにもう一度サフを吹き、マスキング面とのサフの段差
を作りました。


↑舷側の鋼板継ぎ目とメリハリを強調した舷窓の様子です。

横方向の鋼板継ぎ目だけでなく、縦の継ぎ目も追加するため細切りのマスキング
テープを貼ってはサフを吹き、または貼り替えてはサフを吹きという差魚を複数回
にわたって繰り返しました。


製作中のカット。サフの階層で鋼板継ぎ目モールドを作っていく様子です。

仕上げに、船首と船尾に吃水ゲージをデカール貼り付けにて再現しました。


***舷窓の立体的再現***

舷窓はピンバイスで下穴を開けて貫通させた上で、極小サイズのハトメを差し込ん
で舷窓の縁取りを再現しました。


製作中のカット。極小サイズのハトメで舷窓を再現していく様子です


***船首錨鎖とスクリュープロペラ***

船首の錨鎖は精密チェーンによる再現で、スクリューは真鍮製の社外パーツを使
用。もちろん左右でピッチの違うものを使い分けました。

このスクリュープロペラは材質的に質感が良いほかに、スピンナーカバーも別パー
ツで再現されているのでディティール的にもよりリアルになります。


船首錨甲板の様子


真鍮パーツに取り替えたスクリュープロペラ


***艦橋、マスト、手摺、タラップなどのディティールアップ***

艦橋は窓のモールドを切削加工し、真鍮線で窓枠を自作することで艦橋室内を覗ける
ように改造しました。艦橋内には羅針儀や双眼鏡、海図台などを再現してあります。


艦橋と後部マストの様子


製作中のカット。艦橋の内部の様子

艦橋室内の床面のグレーチングはイエローグリーンに塗装しました。

マストは前後とも空中線を再現し、前部マストにはタラップを追加しました。

船体上部の各部分に配置される全てのラッパ型通風塔は、導風部をルーターで
削ってえぐれた形状を再現しました。


1段手摺を配置した後部構造物とルーターで導風部を加工した通風塔の様子

手摺の再現は柱にテグスを通すタイプの手摺を甲板全周に再現し、構造物上は
エッチングパーツを使用することで、実艦の写真のようにたるんだ手摺とたるんで
ない手摺とを区別しました。


↑船体外周の手摺と構造物上の手摺の種類を使い分けました

後部構造物回りにはエッチング製の一段手摺を配しました。

ボートダビッドの装備品は真鍮線とタラップのエッチングパーツを組み合わせた自作の
ものです。

甲板中央部のタラップはゴールドメダルの1/200エッチングパーツの手摺付きタラップ
を使用し、煙突へ上るハシゴなども追加しまいした。


***主砲、機銃などの兵装のディティールアップ***

主砲は砲身をピンバイスにて開口し、砲口を再現しました。また、砲塔側面にタラップ
を追加し、立体感のある仕上がりとしました。


第一主砲塔および艦橋にかけての様子

25mm機銃も中央部の3連装機銃、艦橋前の連装機銃ともに精密真鍮鋳造パーツ
に交換し、銃座と銃身で2種類のメタリック色を塗りワケました。

魚雷は発射管にセットされているものの他に、レール上を移動中のものを左右一本
ずつ取り付けました。


発射管にセットされた魚雷と移動中の魚雷の様子


***空中線の追加***

空中線の再現には今回フラグシップの着色テグスを使用しました。

取りつけは全て瞬間接着剤によるものです。

後部マストの周りなどの複雑な部分も立体的に再現し、白塗装にてガイシを再現し
ました。


後部マスト周りの複雑な空中線再現の様子。

第一、第三主砲塔上には空中線支柱を真鍮線で自作し、それを利用した空中線
配置を再現しています。


後部砲塔郡、第三主砲塔上の空中線支柱の様子など


***塗装について***

船体の塗装はすべてエアブラシ等を使用した吹き付けによるもので、軍艦色の下字
に船底色を使い、サビ止め塗料色の下地を作ったのですが、その下に更にそのサビ
止め塗料色の発色を際立たせるためにベースホワイトによる白立ち上げを施した
3層塗装です。(白立ち上げ前にはサフの積層による鋼板継ぎ目再現も施しました)

1/700などのスケールではモールドのメリハリが際立つような明るい下地の塗装をす
る必要があるのですが、1/200のような大型モデルの場合はこのような重厚な下地の
ほうが重量感をだすのに向いていると考えての下地塗装です。

船体および船底の塗装に使用した塗料はGSIクレオスの軍艦色および艦底色で
甲板にはクレオス艦船用塗料セットのリノリウム専用色を使用して考証に近い色調
で再現しました。最後の仕上げに船体全体に質感統一のために艶消しのクリアー
コートを施してあります。 


***台座について***

台座はキットのプラ製のものは使わずに、今回はたいこ引きされたえんじゅ材を使
用し、サンディングを繰り返してニスの吹き付けで仕上げました。

船体を固定する台座は小西製作所のブラス製のもので、ネジ固定で安定させてあ
ります。(台から船体を取り外すことはできません)

主砲塔および魚雷発射管は全て回転可能ですが、1番、3番主砲塔は空中線支
柱と空中線が繋がっておりますのであまりまわさない方がいいかもしれません。


↑台座を含む全体像です。







**総括**

ニチモの陽炎型駆逐艦は原型もよく、基本的なディティールも作りこまれているもの
なので、そのまま組んでもよく、そして手を加えれば加えるほどにその効果もわかりや
すいので中級以上のモデラーには腕のふるい甲斐がある名キットです。

まだ1/200スケールの艦船模型を組んだことのない方にも最初にぜひオススメしたい
キットのひとつで、今後もリリースが止まらない限りはいつまでも作り続けて行きたい
お気に入りのひとつでもあります。

今回の作例でははじめてリノリウム押さえ金具の自作を試みたのですが、とても効果が
大きく、大いに気に入りました。しかし一方で、舷窓のハトメ再現は全体に施すと少し
くどいようで、今後は構造物などを中心に施していくべきかもしれないという勉強にな
りました。
 




SCALE MODELSに戻る


左側にメニューページが表示されない場合はここをクリック

艦船模型製作代行 モデルファクトリー ハイギヤードはこちら

スケールモデル完成品販売ネットショップ CHERRY&ANCHORはこちら

■管理人オススメ!本格海戦ゲームアプリ「蒼焔の艦隊」■


↑Android版のダウンロードはこちら↑

↑iOS版のダウンロードはこちら↑

フル3Dで作成された艦艇で迫力の大海戦を勝ち抜いていくゲーム。無料にて配信中!(一部有料アイテムあり)






inserted by FC2 system