1/200スケール 駆逐艦初月 2回目
Nichimo製インジェクションキット













ニチモ 1/200

ニチモの1/200駆逐艦初月の製作は今回で2回目です。 

前回は船体舷側の艦名表示などを入れた仕様に仕上げましたが、今回はよりストレ
ートに、キットに近い設定で製作しました。

また、台座に関しても最近またいろいろな素材を試し、ディスプレイ映えする方法を
研究中です。

では、前回のレポートでは実艦の解説ができなかったので、今回説明させて頂きます。


***実艦について***

秋月型駆逐艦の初月は昭和16年7月に起工、17年12月15日竣工し同月29日に
引き渡されました。  ネームシップの秋月と竣工時を比較すると、マストの形状に
大きく違いがあり、最初から電波探信儀が装備できるよう、大型のものとして完成
しました。

初月は同時に引き渡された涼月とともに第三艦隊第10戦隊61駆逐隊に編入され
て訓練を開始し、この間昭和18年1月29日付けの訓令を受け、煙突両舷に25m
三連装機銃を2基を装備、中央部の25mm連装機銃を三連装機銃に換装して
対空装備の強化が計られました。

昭和18年3月22日、内地を出向し「い号作戦」発動により、航空部隊基地物資を
輸送してラバウルに進出。 5月17日には山本五十六連合艦隊司令長官の遺骨
を乗せた武蔵を護衛してトラックを出発、22日に横須賀に帰投しました。

その後、12月12日より22日まで呉で一般整備を実施し、後部94式高射装置を撤
去し、25mm三連装機銃を換装しました。

昭和19年2月5日、翔鶴、瑞鶴、筑摩を援護して内海西部を出航してシンガポー
ルに進出、リンガ泊地で訓練に従事し一時内地に帰投。3月28日、大鳳を護衛
してリンガ泊地に進出、6月13日、マリアナ沖海戦にて秋月とともに大鳳を護衛し
てタウイタウイを出撃します。 大鳳沈没後は、瑞鶴の直衛に付き、被害を受ける
ことなく24日、柱島に入港しました。

昭和19年10月20日、捷一号作戦に小沢艦隊に所属して柱島を出撃。15日に
来襲した敵機の攻撃で僚艦は次々と沈没しました。 初月は瑞鶴の乗員救助に
全力を集中したため、その作業は夜間に及び、アメリカ艦隊の集中攻撃を受け
る結果になってしまいました。

そうした中、初月は最後まで奮戦し、砲撃が開始されてから2時間後、艦が停止
しつつも20分以上、火災におおわれながらも最期まで応戦しました。

この初月の涙ぐましい努力は敵艦隊をクギ付けにする結果となり、小沢艦隊の
残存艦は無事内地に引き上げることができました。 しかし、初月は乗組員全員
が壮絶な最期を遂げ、ひとりの生存者も残ることはありませんでした。 


***キットについて***

今回の作例は、この駆逐艦初月の1/200スケールのモデルです。

船底を取り外すことによって洋上モデルとしての展示も可能なものですが、今
回はディティールを優先して船底を固定したフルハル状態として完成させま
した。

ベースに使用したキットはNichimo(ニチモ、日本模型)の1/200駆逐艦シリ
ーズのインジェクションキット『防空駆逐艦初月(展示模型版)』です。

Nichimoの1/200と言えば戦艦大和があまりにも有名ですが、この駆逐艦シリ
ーズは板状のパーツを組み合わせて作る構造物や艦橋などのパーツ構成が
しっかりしており、駆逐艦特有の構造物の側面の彫刻表現も非常に精密に
再現されていつこともあって、精密さでは名作大和をも凌ぐ隠れた名キットです。

今回は、このキットを使用し、自作処理、社外パーツなどをふんだんに
使ったディティールアップを施しました。

***船体のディティールアップ***


まずは全体像を9枚の画像にわけて撮影しましたのでご覧ください。


全体像1。右舷前方の様子


全体像2。右舷中央部の様子


全体像3。右舷後方の様子


全体像4。左舷前方の様子(クリックで画像表示)


全体像5。左舷中央部の様子


全体像6。左舷後方の様子


全体像6。上空から見た船体前部の様子。リノリウムの留め金具などの様子も確認できます。


全体像7。上空から見た船体中央部の様子


全体像8。上空から見た船体後部の様子

船体はバリやパーティングラインを消したあと、舷窓や構造物の丸窓をピ
ンバイスで開口してモールドのメリハリを強調しています。

また、船尾スクリュープロペラには小西製作所の1/200真鍮製パーツを使用し、金属
の質感を再現しました。 シャフトももちろん真鍮製です。
 

真鍮製スクリュープロペラ。もちろん左右用のピッチも使い分けています。


***舷側の鋼板の継ぎ目モールドを追加***

鋼板の継ぎ目モールドの追加方法は同じ大きさに短冊状で切りそろえたマスキン
グテープを舷側に貼り、サーフェーサーを吹いて塗膜の段差を作る方法で行い
ました。 縦の継ぎ目を追加する目的で同様の作業を何度も繰り返して完成しま
した。

今回はこの処理を目立つ舷側部分に行ってあります。


自作した鋼板の継ぎ目の様子です。分かりにくいですが、縦の継ぎ目も入れてあります。


***甲板のディティールアップ***

船首錨鎖は本物の精密チェーンを使用して立体的な表現としました。


ディティールアップされた船首錨甲板の様子。

リノリウム甲板はGSIクレオスの「レッドブラウン」と「土地色」を調合して実物に色合い
に似た色を自作して吹き付けました。

また、リノリウムの押さえ金具を再現するため、0、3mmの真鍮線を現物合わせて一本
一本加工して自作し、貼り付けてあります。 

この部分は未塗装ですので真鍮の金属とリノリウムの色合いとのコントラストが楽しめます。

手摺は船体を取り囲むように取り付けてあるものは、実艦のチェーンタイプの手摺
の再現に適した柱にテグスを通して再現するタイプのパーツを使用し、構造物上
のものはエッチングパーツを使用。 

実艦と同様の2種類の使い分けを行ったことでよりメリハリのある再現としました。


2種類を使い分けた手摺の様子


その他、吸排気口の細かい塗り分け、浮き輪などは筆塗り塗装で、カッター
ボートや内火艇などの塗り分けは資料にしたがって細かく行いました。


ボート艤装の一部は自作です。


***兵装のディティールアップ***

主砲塔は側面にエッチングパーツによるラッタルを再現し、砲身はピンバイスで
開口してより実感的に仕上げました。

左右への旋回機能は残してありますので、主砲を左右に旋回させることが可能
です。


ピンバイスによって開口した主砲身の様子。


魚雷発射管の様子。魚雷発射管は固定式です。

駆逐艦独特の船尾の雷装は解説書に従った再現としました。


船尾の雷装の様子。投射機に爆雷がセットされています。

また、三連装機銃の塗装にはGSIクレオスのスーパーメタリックカラー(スーパーア
イアン)を使用しました。

この塗料は金属粒子入りの高級塗料でより実物の金属に近い発色が可能な
ものです。


船体中央部の機銃座の様子。


***艦橋および構造物のディティールアップ***

艦橋は窓枠のモールドを削り取って真鍮線を使用して窓枠を自作してメリハリ
のある仕上げとしました。


ディティールアップされた艦橋周りの様子。

その他の丸窓もピンバイスで開口し、通路にはエッチングパーツで手摺を再現
してあります。 

開いた状態でモールドされた水密扉の開口部分はリューターでくりぬいて内部
空間が見えるようにしました。

また、艦橋直後の前部マストにはエッチングパーツでラッタルを追加。

煙突は出口を開口し、真鍮線を組んで出口フィンを自作しました。 


フィンを自作した煙突を上から見た図です。

甲板や構造物上に多数見える通風塔は目立つ部分については表面をリュー
ターで削ってラッパ形状に近づけました。


ラッパ状に加工した艦橋脇の通風塔


***空中線について***

空中線の再現には今回はフラグシップの模型用カラーテグスを使用しました。 艦橋
周りなどに集中的に展開して精密感を高めました。

固着は全て瞬間接着剤によるもので、部分的に白塗装によってガイシを再現しました。


マストと空中線の様子


***台座について***

今回は塗装した木製飾り台と真鍮製の脚を組み合わせて模型映えを追求しました。 

木製台は今回はチーク材のものを使用し、チークの色合いを生かすべく、表面につや消しニ
スを薄く吹き付けて表面を保護しました。

ネームプレートはゴールドラベルにプリントしたもので、これも自作です。


台座も予算と手間をかけて高級感のある仕上げとしました。







**総括**

ニチモの1/200秋月型駆逐艦の船体は経年からか?かなり反りがでているのでしっ
かりとした固定をしておかないと、あとで剥がれたりして泣きを見ることになります。

HIGH-GEARedの場合は、まず瞬間接着剤を点付けして仮止めし、その後流し込
みタイプのスチロール接着剤をたっぷり流し、クランプやマスキングテープなどでし
っかりと止めて一晩待ちます。 

船体がしっかり固定されたら内側にプラバンやプラ棒などを貼り付けて補強し、最
後にエポキシパテを充填して完了です。 

甲板パーツも含めて船体の固定は塗装の前に行っていますが、もちろん砲塔や魚
雷発射管はあとから取り付け不可能なものですから、砲台のみ先に接着しています。






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